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ソフトウェア定義ストレージ(SDS)とは

2024年04月30日 | min


ソフトウェア定義ストレージ(SDS)とは

ソフトウェア定義ストレージ(SDS)とは、基盤となるハードウェアに依存せず、ソフトウェアのみでデータ管理を行うストレージシステムです。大半のデータストレージ製品は、ソフトウェアがハードウェアと連携してストレージタスクを制御、監視し、管理するため、ソフトウェアとハードウェアの両方が必要です。しかし、SDS は従来のアプローチとは異なり、ソフトウェアのみでストレージ機能を提供します。

ソフトウェア定義ストレージは、特別なハードウェアコンポーネントを必要とせず、コモディティサーバーのハードウェア上で動作します。このため、ソフトウェア定義ストレージソリューションは、従来のハードウェア依存型のストレージ製品に比べて大幅なコスト削減が可能です。

ハードウェアからリソースを抽象化することで、柔軟性の向上、パフォーマンスの効率化、容易な拡張などのメリットを享受できます。抽象化されたストレージリソースは、プログラムでの管理がしやすくなり、ソフトウェア駆動型データセンターの重要な要素となります。その結果、これらのリソースは、サイロ化したインフラに常駐するリソースに比べて、はるかに自動化が容易になります。

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ソフトウェア定義ストレージの種類

ソフトウェア定義ストレージ(SDS)は広範な意味を持つ用語であるため、SDS 製品の種類を特定するのは容易ではありません。ただし、ソフトウェア定義ストレージの括りには、一般的に認識されているいくつかのカテゴリがあります。

  • ブロック、ファイル、オブジェクトストレージ:このカテゴリは分散型サーバークラスタを利用して、ブロックファイルオブジェクトというストレージソリューションの 3 つの主要な種類をサポートします。統一された管理システムを使用し、ニーズに応じて任意のストレージを選択して利用できます。

  • スケールアウトオブジェクト:このシステムはオブジェクトに固有の識別子を作成して割り当てます。一部のオブジェクトストレージソリューションは、NFS と SMB を含めたファイルへのアクセスもサポートします。

  • スケールアウトブロック:x86 サーバーノードを利用したブロックストレージ製品は、ノードを 1 つのシステムにまとめます。その結果、ノード間の一貫性ある通信を実現できます。 

  • スケールアウトファイル:ソフトウェア定義ストレージのなかでも初期のカテゴリであり、高可用性のスケールアウトファイル共有を作成し、ファイル駆動型アプリケーションのストレージとして使用します。

  • ストレージ仮想化:このシステムは、さまざまな場所にあるハードウェアベースのストレージソリューションを統合し、単一管理プラットフォームを通じて利用・監視できる単一のストレージデバイスを構築します。 

  • ハイパーコンバージドインフラハイパーコンバージドインフラは、個別のサーバー、ストレージネットワーク、ストレージアレイを統合し、コモディティサーバー上で稼働する分散クラスタのコンピュートやストレージリソースとしてまとめることで、組織がストレージニーズを管理し、拡張できる単一の効率的な方法を提供します。

ソフトウェア定義ストレージの仕組み

ストレージ仮想化は、ソフトウェア定義ストレージが機能するうえでの重要なコンポートネントです。ストレージ仮想化は、ストレージハードウェアとストレージ管理ソフトウェアを分離します。これには、レプリケーション、スナップショット、バックアップを目的としたさまざまなポリシー管理が含まれているのが一般的です。前述したとおり、ソフトウェア定義ストレージはディスクアレイ向けに統合型仮想「プール」を構築します。ここから仮想デスクが形成され、ホストサーバにローカルユニット番号(LUN)として表示されます。

ソフトウェア定義ストレージのニーズ

ソフトウェア定義ストレージの導入の価値を認識する一方で、企業は従来のハードウェアベースのストレージ戦略を利用し続けるメリットと、それに伴うリスクを考慮する必要があります。従来のストレージソリューションの限界を理解することが極めて重要です。例えば、アプリケーションの複雑化による独自の要求、データの増大による従来ストレージの圧迫、ストレージ戦略に求められる期待の変化など、対応すべき需要が増えるなか、企業の予算はますます厳しくなっています。

必然的に、従来のストレージアプローチでは、こういったニーズの急増に対処できなくなり、問題が発生する可能性があります。組織は従来のストレージよりも柔軟なソリューションを必要としています。ストレージのニーズが発生する前に予防的にキャパシティを追加したとしても、その方法は長期的には持続できず、コスト面でも効果的ではありません。

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ソフトウェア定義ストレージが選ばれている理由

ソフトウェア定義ストレージを導入した組織は、コストからスケーラビリティに至るまで、多くのメリットを享受しています。ソフトウェア定義ストレージは x86 サーバーと連携できるため、IT 管理者に柔軟な選択肢を提供し、ベンダーロックインの課題を排除します。

ソフトウェア定義ストレージは、資本的支出(CapEx)を削減するための経済的な選択肢として最適です。ソフトウェア定義ストレージは x86 サーバー上に存在し、専用の SAN ストレージアレイに伴う高額な費用を支払う必要がなくなります。

また、ソフトウェア定義ストレージを選択することで、集中型インテリジェンスをデータセンターに提供できます。ソフトウェア定義ストレージは、ソフトウェアのインテリジェンスをデバイスから分離し、管理作業を軽減します。これにより、組織は自動化されたポリシーを活用して、ストレージ要件の変化に迅速に対応できるようになります。

ソフトウェア定義ストレージを利用するメリット

ソフトウェア定義ストレージの導入には多くのメリットがあるため、多くの組織がハードウェアに依存しないストレージアプローチを選択しています。ソフトウェア定義ストレージは、さまざまなデータストレージオプションを柔軟に提供するため、データを格納するだけでなく、活用して優れたインサイトを得ることができます。 

また、その自動化性能のおかげで、組織は次のメリットを実現できます。

  • 動的なストレージプロビジョニング:ソフトウェア定義ストレージでは、ワークロードとストレージが緊密に機能するため、ワークロードのキャパシティの変動に合わせてストレージを拡張できます。

  • インテリジェントなストレージの利用:ソフトウェア定義ストレージは、新旧の IT 消費モデルに対応できる柔軟なソリューションです。利用するインフラの種類を問わず、ソフトウェア定義ストレージでは、オンプレミス、クラウド、仮想デスクトップ、モバイルデバイスなどを横断した俊敏性を実現できます。

  • 優れたコントロール:ビジネス要件は日々変化しており、ソフトウェア定義ストレージはそれに対応するために必要な制御を提供します。これにより、ストレージの基準に合わせてインフラの性能を最適化できます。

  • 迅速な拡張:ストレージ要求の増大にあわせて、ソフトウェア定義ストレージの階層化された容量を活用し、オンデマンドでストレージをプロビジョニングできます。

ソフトウェア定義ストレージのユースケース

ソフトウェア定義ストレージは、多くのワークロードで一般的な選択肢になりつつありますが、ここでは一般的な使用方法をいくつか紹介します。

  • 仮想デスクトップインフラ(VDI)VDI では、ユーザーがデスクトップやデータにアクセスする際に、それらのリソースが自分のデバイスにローカルに存在しているかのように扱えるようにします。VDI には一元化されたデータが必要であり、ソフトウェア定義ストレージ(SDS)はVDI 展開に不可欠なコンポーネントです。

  • リモートオフィスとブランチオフィス(ROBO):ソフトウェア定義ストレージは、 ROBO の場所を強化します。ソフトウェア定義ストレージの集中管理の性質により、組織全体が ROBO データにリアルタイムでアクセスできるようになります。物理的な場所に保存されているかのように利用できるため、ネットワーク上のあらゆるユーザが必要に応じてその一元化されたデータにアクセスできます。

  • ハイブリッドクラウドの実装ハイブリッドクラウドでは、オンプレミスとプライベートクラウド、パブリッククラウドでデータを運用することが一般的です。ソフトウェア定義ストレージを利用すると、既存のストレージインフラをクラウドに容易に拡張できるため、ユーザーはデータがどこに保存されていてもアクセスできます。

  • IoT(モノのインターネット)とその他のエッジアプリケーション:IoT アプリケーションは、多くのデータを生成します。このデータは、さまざまなセンサーやノードから収集されます。エッジコンピューティングも、ネットワーク全体の異なるタッチポイントで膨大な量のデータを処理します。ソフトウェア定義ストレージのコスト効率の良さは、IoT やその他のエッジアプリケーションにおいて利点となります。ソフトウェア定義ストレージを利用することで、高価な専用ストレージアレイの代わりに、安価な商用サーバーやディスクドライブを使って膨大な量のデータを保存できます。

  • 高可用性が求められるアプリケーション:ストレージの集中制御と管理により、高可用性が必要なアプリケーションにもソフトウェア定義ストレージを利用することが可能です。ソフトウェア定義ストレージには、ハードウェアストレージにはないデータ保護機能がソフトウェアに組み込まれています。これには、リモートレプリケーション、ミラーリング、重複排除、自動フェイルオーバーなどが含まれます。

  • アーカイバルストレージ:ソフトウェア定義ストレージはコスト効率が高いため、低コストで信頼性の高いストレージを提供します。ハイブリッドクラウドインフラ全体でデータを容易に保存・管理できるため、予期しないハードウェアの故障やその他の想定外のダウンタイムから迅速に回復できます。

関連リソース

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ソフトウェア定義ストレージとクラウドサービスの統合

企業は IT インフラで俊敏性の向上をめざし、オンプレミスのデータセンターだけに依存するのではなく、ハイブリッドややマルチクラウド環境へと移行しています。ソフトウェア定義ストレージ(SDS)をこれらの環境に拡張することで、固定的なアーキテクチャから脱却し、クラウドサービスの多様な機能を柔軟に活用できるようになります。組織は、クラウドサービス全体でデータを保存、アクセス、管理する柔軟性を享受できます。主なメリットは次のとおりです。

  • 容易なデータ移行:SDS は、異なる環境間でのアプリケーションデータのシームレスな移行を可能にし、オンプレミスの技術からパブリッククラウド環境への移行を容易にします。特に、ハイブリッドクラウド環境でクラウドバックアップに使用する際に役立ちます。

  • シングルペインでの管理:SDS ソリューションは、オンプレミス、パブリッククラウド、マルチクラウド、ハイブリッドクラウドの各環境でのデータを単一のインターフェースで管理できます。これにより、これらの異なる環境にわたるデータ管理が簡素化されます。

  • エンタープライズストレージ機能のエミュレーション:ハイブリッド SDS ソリューションは、従来のオンプレミスストレージソリューションの機能をエミュレートできるため、異なる環境間で一貫したエクスペリエンスを実現できます。

オンプレミスとクラウド環境間でのデータ移動と管理は複雑になることがあります。データの整合性やアクセス速度の維持、コスト管理など、乗り越えなくてなならない現実のハードルは高く、さらに、異なるプロバイダーのデータセキュリティやコンプライアンスに関する規則の理解も必要です。

ソフトウェア定義ストレージ(SDS)は、オンサイトのインフラとクラウドプラットフォームの間をつなぐ柔軟な橋渡し役です。データ戦略を一つにまとめる接着剤であり、環境に適応するイコライザーとして機能し、データをある環境から別の環境へ移行するためのオーケストレーターです。データ環境がますます複雑化するなか、SDS はビジネスニーズに対応し、オンプレミスとクラウドのリソースを統合し、一貫した効率的な戦略として運用を可能にします。

セキュリティと信頼性

ソフトウェア定義ストレージ(SDS)も、他のストレージ環境と同じように、以下のようなサイバーセキュリティの問題に直面します。

  • マルウェア:システムやネットワークに侵入し、損害やデータを盗むことを目的としたウイルス、ワーム、その他の悪意のあるソフトウェアによる攻撃。

  • フィッシング攻撃:サイバー犯罪者がユーザーを騙して、秘密情報を開示させたり、マルウェアをデバイスにダウンロードさせたりしようとする攻撃。

  • 不正アクセス:侵入者が許可なくシステムやネットワークへのアクセスする行為。

  • サービス拒否(DoS)攻撃:システムに大量のトラフィックやリクエストを送り込み、サービスを妨害または無効化することを目的とした攻撃。

ソフトウェア定義ストレージ(SDS)には、従来のハードウェアベースのストレージシステムとは異なるサイバーセキュリティリスクも存在します。SDS はストレージサービスをハードウェアから分離(あるいは抽象化)するため、この種のシステム管理に慣れていないユーザーにとっては複雑さが増します。このような高いレベルの複雑さは、設定ミスを引き起こしやすくしたり、脆弱性を生じさせる可能性があり、結果として、セキュリティ侵害のリスクが高まることになります。

悪意のある攻撃者による侵入を防ぐだけでは不十分です。侵入された場合に備えて、対処方法をしっかりと整えておく必要があります。ソフトウェア定義ストレージ(SDS)では、暗号化やアクセス制御、定期的な監査、異常検知など、具体的かつ包括的なデータ保護対策を実施することが含まれます。ソフトウェア定義ストレージ環境におけるセキュリティリスクからアーキテクチャを保護するためのいくつかの方法をいくつかご紹介します。

  • 仮想マシン(VM)のセキュリティ設定の把握と管理仮想マシン または、ターゲットを絞ったアップデートが可能なパッケージを選択する。

  • ホストとハイパーバイザのセキュリティの確保:ポートのファイアウォール、ネットワークサービスの暗号化、プロセス機能の制限の対策を講じてホストのセキュリティを確保し、ハイパーバイザを脅威から保護する。

  • ログと権限の厳重な追跡:広範なロギングを利用し、権限を監視することで、特に SDS のコントロールプレーンサービスにおける疑わしいアクティビティを迅速に検知し、マルチテナント環境では厳密な監査を実施する。

  • 暗号化の導入:データを保存時に暗号化し、廃棄されたハードウェアを保護し、データを転送時に暗号化し、公共ネットワーク上のデータを保護する。クライアントサイドまたはサーバーサイドの暗号化を使用して、不正なデータアクセスを防止する。

  • レイヤーの適用:論理レイヤーを使用してクラスタ管理を簡素化し、特にハイパーコンバージドアーキテクチャにおいては、強力な認証および認可ポリシーを導入してセキュリティを強化する。

上記のような戦略を採用することで、ソフトウェア定義ストレージシステム(SDS)のセキュアな基盤を構築できます。SDS を利用する目的は、データ資産をアクセス可能で堅牢な状態に保ち、事業継続のための強固な計画を策定することです。

SDS ならではの柔軟性を活用することで、さまざまな場所にデータを複製することが可能になり、1 つのノードが機能不全に陥った場合でも、他のノードが問題を解決できるようになります。ストレージソリューションの強さは、適応性、保護、持続性にあり、ストレージソリューションにより、未知の課題やリスクに対してデジタル領域を保護できます。

Nutanix のソフトウェア定義ストレージソリューション

Nutanix は、クラウドソフトウェアのグローバルリーダーであり、ハイパーコンバージドインフラソリューションの先駆者として、コンピューティングをインビジブルでシンプルなものにします。Nutanix のソフトウェア定義ストレージソリューションは、プライベート、ハイブリッド、マルチクラウドの全て環境に対応し、堅牢で拡張性の高いストレージを提供します。Nutanix では、次のストレージソリューションを提供しています。

  • Nutanix ユニファイドストレージ:クラスタ化されたシェアードナッシングのノードに基づいて構築されたストレージプラットフォームで、環境全体のデータ管理と拡張を簡素化します。
  • Files ストレージ:Files ストレージは、スケーラブルな単一プラットフォームで、データの断片化とストレージのスプロールを大幅に削減します。
  • Objects ストレージ:ビッグデータ、クラウドネイティブアプリケーション、ディープアーカイブ向けに、S3 互換のセキュアなオブジェクトストレージを大規模に提供します。

リソース

Gartner®Magic Quadrant™ for Distributed File Systems and Object Storage

ガートナーのマジック・クアドラント 2023年「分散ファイルシステムおよびオブジェクトストレージ」部門

 

Files Storage Solution Brief

Nutanix Files:
ソリューション概要

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