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ハードウェア観点でのNutanixのHCI

ニュータニックス・ジャパン / ソフトウェアテクノロジーセンター テクニカルエバンジェリスト

前回までに解説したとおり、NutanixのHCIは、あらゆる機能がソフトウェアで実装されています。今回の記事では、あえてHCIソフトウェアを動かすためのハードウェアに着目して解説します。

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◎「サーバーだけ」だからこそシンプル

第1回のコラムでも紹介したとおり、HCIは、従来型の仮想化基盤におけるサーバー・SANスイッチ・共有ストレージ装置を組み合わせた3 Tier構成とは異なり、ハードウェアとして見るとサーバーを複数台並べてイーサネットで接続しただけのシンプルなものになります。また、サーバーそのものは、特殊なものではなく、ごく普通のラックマウントサーバーです。

ハードウェア構成はシンプルになる一方で、Nutanixには「ソフトウェアによって」仮想化基盤で必要となる様々な機能が組み込まれています。これにより、マルチベンダーごとに異なるユーザーインターフェースを用いる必要がなく、管理者の運用負担の低減や学習コストの軽減が可能となっています。

図:3Tier→HCI

◎HCIによるシンプル化はバックアップにもおよぶ

◎「なんでもアリ」ではないが、多様なサーバーHWに対応

サーバーHWだけで構成されるNutanixのHCIですが、使用できるサーバーHWには何か条件があるのでしょうか?答えとしては「条件アリ」です。決して「なんでもアリ」ではありませんので、HCIを導入する際には、サーバーHWの構成に関する条件をあらかじめ確認しておきましょう。

具体的な条件についてはHCI製品ごとに異なりますが、大まかに分けて次の2パターンが存在します。

  • HCIソフトウェアとサーバーHWがセットになった「アプライアンス」として販売されている製品
  • HCIソフトウェアとサーバーHWが別個に販売されるが、HCIソフトウェアをインストール可能なサーバーHWの構成が指定されている製品

Nutanixには、上記2パターンのどちらの製品もありますので、お気に入りのサーバーメーカーがありましたら、Nutanixや販売パートナーへ相談の際に伝えることで、提供可能な方式や具体的な構成をスムーズにお伝えできると思います。NutanixのHCIソフトウェアはサーバーメーカー各社が展開する幅広いHW構成に対応しており、1Uモデル、2Uモデル、2U4ノード集約モデルなど様々なベースモデルが選択できることに加え、CPU、メモリ、ディスクも幅広い構成を組み合わせられます。特にメーカーの指定がなければ、リソース要件などを伺った上で、適切なものを提案させていただきます。

◎「なんでもアリ」ではないが、多様なサーバーHWに対応

なお、Nutanixクラスターを拡張する際、同一クラスターに組み込めるサーバーHWは同一メーカーのものに限られますので注意してください。技術的には混在することも可能なはずですが、NutanixのHCIでは、データがすべてのノードに分散することや、サーバーHWのファームウェア管理機能を備えていることなどから、複数メーカーの混在による保守の混乱を避けるなどの理由で、このような制限を設けています。

Nutanixが提供する「Prism Central」というマルチクラスター管理ツールで、異なるHWメーカーのNutanixクラスターを一元管理することや、異なるHWメーカーのNutanixクラスター間でリモートレプリケーションを構成することなどは、問題なくサポートされます。

Nutanixが提供する「Prism Central」というマルチクラスター管理ツールで

◎物理ネットワークスイッチの選びかたは?

サーバーHWの話からは少し横道に逸れますが、ハードウェア関連でよくいただく質問の1つが、「Nutanixに対応している物理ネットワークスイッチは?」というものです。

Nutanixとしては、個別のネットワークスイッチに関する対応認定を行っているわけではなく、データセンター向け品質(高スループット、低遅延、高信頼)の10GbEスイッチであれば基本的に問題ないという考え方です。また、分散アーキテクチャーの特性上、ノード間のイーサネットでの接続がない場合には稼働を継続できないため、ネットワークの冗長構成は必ず行ってください。

いくつかのモデルを具体例(問題ないものと、問題があるもの)として挙げ、解説しているベストプラクティス資料があります。ぜひ、ご一読ください。英語版なので、Google Chromeの翻訳機能などを使うと読みやすいと思います。

◆Nutanix Best Practice BP-2050 Physical Networking(要ログイン)

https://portal.nutanix.com/page/documents/solutions/details/?targetId=BP-2050-Physical-Networking:BP-2050-Physical-Networking

 ◆Nutanix Best Practice BP-2050 Physical Networking(要ログイン)

また、一部のメーカーは、自社のネットワークスイッチとNutanix AHVの連携機能を提供していますので、こちらも合わせてご覧ください。

◆Elevateテクノロジーアライアンスパートナープログラム

https://www.nutanix.com/jp/partners/technology-alliances

◎過剰投資を防ぎ、適正サイズを保つ

従来の3 Tier構成の仮想化基盤では、往々にしてオーバーサイジングによる過剰投資が問題となっていました。オーバーサイジングになりがちな理由としては、3 Tier構成では拡張時の工数が多く掛かってしまうことから、気軽には拡張しづらいという点が挙げられます。HCIならば非常に簡単にサーバーHWを増設できるため、必要なタイミングで必要なだけスケールアウトする、という形での投資がしやすくなっています。ただし、HCIを拡張する際の柔軟性はHCI製品ごとに異なりますので注意が必要です。Nutanixならば、異機種・異構成・異世代でも混在が可能ですが、HCI製品によっては「混在不可」や「混在できるが非推奨」といったケースも少なくありません。また、Nutanixならば、ライフサイクルを終えたサーバーHWをリプレイスする場合にも、全く同等リソースのHWに置き換える必要ありません。もしも、基盤のリソースに余裕がある場合は、リソースの少ないHWに入れ替えることも可能ですし、リソースが不足している場合は、よりリソースの多いHWに入れ替えることも可能です。このように、HW構成の柔軟な見直しを行い、適正サイズに保てるのもNutanixの魅力となっています。

◎過剰投資を防ぎ、適正サイズを保つ

◎最小構成はどれくらいから?

HCIで過剰投資を防げると説明しましたが「Nutanix の最小構成はどのようになりますか?」という質問をいただくこともありますので解説します。Nutanixの最小構成としてまず知っておくべき条件は、「3ノード構成」であるという点です。これは、NutanixのHCIは、データの冗長化や制御モジュール(CVM)の相互監視など、信頼性を担保する仕組みを搭載していますが、そのためのアルゴリズムが「正常稼働し、かつノードやディスクなどの構成要素のうち1ヵ所に障害が発生しても冗長性を保ちながら稼働を継続できる」という条件を満たせるのが3ノード構成であるためです。Nutanixの3ノード構成は、1ノードがダウンしても残りの2ノードにリソースが残っている限りはデータを常に冗長化する、という堅牢な仕組みを有しています。3ノード構成が可能なほかのHCIには、1ノードがダウンして2ノードになると冗長性が全く保証されなくなるものもありますので注意が必要です。

また、2ノード構成のHCIというものを耳にすることがありますが、これはHCIが本来持つスケーラブルアーキテクチャーを捨てた「単なるミラーリング」であり、容易なスケールアウトはできない点に注意が必要です。Nutanixにも2ノードや1ノードでの構成は存在しますが、拡張不要な小規模拠点やエッジコンピューティング用と位置付けられています。

なお、1ノードあたりの最小スペック例としては、Nutanix NX-1175S-G7という1Uモデルで「CPU: Xeon Silver 4208(8 cores / 2.1 GHz)、RAM: 64GB、Disk: 1.92TB SSD * 2」という小規模構成からスタート可能です。ほかの対応メーカーにおける最小スペックはそれぞれ異なりますので、各々のウェブサイトで情報をご確認ください。

https://www.nutanix.com/jp/products/hardware-platforms

様々な要件に応える幅広いサーバーHW構成を提供していますが、初めてみる方は種類が多すぎて混乱するかもしれません。Nutanixや販売パートナーに相談いただく場合には、「どんな用途」で「どの程度のリソース(CPU能力、RAM容量、Disk容量)が必要か」をお伝えいただくと、専用のサイジングツールで適切なHWを導き出して、スムーズに提案できるようになっています。そのため、あまりサーバーHWにとらわれずにご相談ください。

◎まとめ

ここではあえて、ハードウェア観点からNutanixのHCIについて解説しました。しかしながら、NutanixのHCIは、あくまで「ソフトウェア」により制御される仕組みであるからこそ、様々なサーバーHWに対応可能となっていることは、改めて覚えておいていただければと思います。次のコラムでは、レイヤーを1段上げて、NutanixのHCIにおける「ハイパーバイザー」に着目して解説します。

その他のリソース

Nutanix探検隊 第1話 『とにかくやさしいHCI』

Nutanix探検隊 第2話 チョットだけ深堀りするNutanixの『分散アーキテクチャー』

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