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東京証券取引所、日本の証券・金融市場を支えるインフラ基盤にNutanixを採用

企業

日本を代表する金融商品取引所。日本における証券・金融市場の象徴的な存在であるだけでなく、ニューヨーク、ロンドン、香港とともに世界有数の金融市場として位置づけられている。現在は日本取引所グループ(JPX:Japan Exchange Group)の一員として、”Step Up to the Next”をスローガンに金融市場のさらなる発展および事業ポートフォリオの多様化を推進している。

業界

金融業界

ビジネスニーズ

  • 運用管理が容易で、拡張性の高いプラットフォーム
  • 先進技術による安心かつ信頼されるプラットフォームの構築
  • ファットクライアント環境の見直しによるセキュリティ強化

ソリューション

  • Nutanix Enterprise Cloud OS
    • Nutanix AOS
    • Nutanix Prism
  • Citirix Virtual Desktop (VDI)

導入メリット

  • 設計から環境構築までのコスト削減と期間短縮
  • 仮想サーバーのリソース割り当てを迅速化
  • VDI環境によるセキュリティ強化
  • 設計工程の生産性向上とシステム運用管理業務の内製化

導入の背景

日本を代表する金融商品取引所として、130年以上にわたって日本の経済成長を支える株式会社東京証券取引所。日本における証券・金融市場の象徴的な存在であり、ニューヨーク、ロンドン、香港とともに世界有数の金融市場として位置づけられています。取引所金融商品市場の開設にあたり、有価証券取引のための市場の提供、相場の公表や有価証券取引における公正性の確保などの業務を担っています。日本取引所グループ(JPX:Japan Exchange Group)の一員として、現在、第二次中期経営計画を推進しており、”Step Up to the Next”をスローガンにJPX市場のさらなる発展と事業ポートフォリオの多様化を推進しています。

東京証券取引所は、取引所有価証券市場の開設にあたり、株式やCB(転換社債型新株予約権付社債)

などの各種売買システムの基幹システムを運営するとともに、上場企業の銘柄管理を担うシステムや投資家等へ情報配信を行うシステムなど、20を超える情報系システムを管理しています。この情報系システムのシステム基盤は、2006年に稼働した第一世代のエンタープライズ基盤を経て、現在は第二世代となる情報系統合基盤「SSOD (Small Start On Demand)」へ進化し、さまざまな業務システムを稼働させています。自社システムに適した製品が選択できる自由度の高いシステムとして運用管理を行っているものの、サーバー、ストレージ、ネットワークの3層構造から構成される現行のシステム基盤は、軽微な構成変更に係る迅速性や拡張に係る柔軟性、迅速性に課題があったとIT開発部 情報システム部長 坂本忍氏は語っています。「例えば構成変更によって拡張する際、外部のシステムインテグレーターに打診し、その都度時間とコストをかける必要がありました。ユーザーから要望があったときに迅速に環境提供できるような基盤にできないものかと思案していました」。DevOpsの考え方が浸透していたこともあり、運用を意識した基盤を望むようになったそうです。

以前から業務システムにかかわっていた同部課長 情報システム担当 岩村佳紀氏も、既存環境における課題を語っています。「私はシステム基盤担当に仮想サーバーのリソース割り当てをお願いする立場でしたが、最低でも3か月前には申請を出すことがルール化されていました。一般的なクラウドサービスであれば数分のうちに割り当てできるのに、我々の環境では数カ月先でないとデリバリーされませんでした。もっと柔軟かつ迅速に環境整備が出来るシステム基盤とそれを支える運用が必要であると考えていました」と語ります。

実は、仮想サーバーそのものを構築するのは数日程度の作業ですが、そこに至るプロセスに多くの時間がかかっていました。「外部システムインテグレーターに運用を依頼しているため、費用交渉から契約、基本設計やレビュー、設計書の作成まで含めて、多くのプロセスを経る必要がありました。」と語るのは同部課長 情報システム担当 柳沢智哉氏です。プロセス管理面での改革も必要だったのです。

その後、坂本氏がIT開発部へ異動したことを契機に、情報系システム基盤構築の刷新に向けて動き出しました。同時に、サイバーセキュリティへの強化の観点から、インターネット分離及びデスクトップの仮想化(VDI)への対応を情報系システム基盤の再構築に合わせて検討・実施することとなりました。

ソリューション

情報系システム基盤再構築に向けて情報収集を行うなかで、坂本氏の目に留まったのが、Nutanixのエンタープライズクラウドでした。「ある自治体の事例を目にしたときに、とんでもないものが出てきたという印象を受けました。“蛇口をひねったら水が出てくるように、インフラリソースが簡単に用意できる”という、10年以上前から思い描いていた夢のようなシステム基盤が現実のものとして作れるのではと考え始めたのです」と坂本氏。そこで、実際にNutanixから話を聞き、理解を深めました。「我々が理想とした運用を実現するためには、サーバーやストレージなどの異なるコンポーネントを並べて仮想化基盤を構築するか、あるいはハイパーコンバージドインフラストラクチャー(HCI)を採用するかという2つの選択肢が現実解としてありました。しかし、構築に係る生産性の向上、サービス提供開始以降の運用に係る柔軟性、迅速性を考え、HCIの方が優れていると判断しました」と坂本氏。「Nutanixはソフトウェアベンダーです。今回の情報系システム基盤再構築は、ハードウェアを選ぶのではなく、ソフトウェア定義の潮流と我々のニーズを踏まえて、どのソフトウェア技術をどのように展開するのかということが本質にありました」と坂本氏は語っています。

情報系システム基盤再構築に際して、まずは自分たちがどのような運用をしたいのかを前提にコンセプト設計から始めました。同時に、従来のSSODの課題も一緒に解決できる仕組みを検討しました。実際にベンダーを訪ねて米国まで赴き、将来的な構想を念頭にヒアリングを重ねました。その結果、先進技術を積極的に活用するという「Innovation」、運用管理の簡素化と柔軟な増設、拡張が可能な「Flexibility」、安心かつ信頼されるプラットフォームを実現する「Relationship」という3つをコンセプトに据え、情報系システム基盤の再構築に着手しました。

情報系システム基盤再構築の大前提として、サーバー仮想化だけでなく、ストレージやネットワークも含めた仮想化を導入し、アプリケーションとシステム基盤を分離させるため、すべての機能をソフトウェアで制御できる環境を目指しました。また、システム構築や運用管理の手間を軽減するため、情報系システムの全てのアプリケーションを1つのシステム基盤に統合することを目指しました。「まずはセキュリティ強化のためVDIから導入することにしましたが、自分たちが描く理想の運用を実現するには、Nutanixが欠かせないと判断し、最終的には情報系システム基盤の要としてNutanixを選択しました」と坂本氏は語っています。

初めてNutanixに触れた印象について柳沢氏は「Nutanix Prismを使えばワンクリックで環境構築できるという話をセミナーで聞き、とても大きな衝撃を受けた」と当時を振り返ります。その後渡米してNutanixから直接話を聞いた際も、将来的な開発のロードマップに驚きを隠せなかったと語ります。「例えばディザスタリカバリの機能は、1時間に1回の同期サイクルを、次のバージョンでは劇的に改善することが示されていました。日本のベンダーにはない開発のスピード感に驚いたのを覚えています」

と柳沢氏。同時に、Nutanix Prismが持つ機能を使えば理想的な運用が可能だというイメージが持てた点を柳沢氏は高く評価しています。

VDI構築を担当する岩村氏は、金融機関の事例を聞けた点が大きかったと振り返ります。「我々が目指している仕組みと同じ構成で、仮想サーバーの迅速なデリバリーが定量的な効果として確認できたのです。その後、検証機を借りて実際に試してみたのですが、OSインストールからVDI環境の構築まで、わずか2日程度でできただけでなく、60ユーザーほど収容しても問題なく動かすことができました。別の検証機では、それなりのスペックながら10ユーザーを収容しただけでも動きの鈍さを感じることもありました。Nutanixが仮想環境に適していることが実感できました」と岩村氏は評価しています。

新たな情報系システム基盤は、Nutanix Enterprise Cloud Platform上でCitrixによるVDI環境を先行して稼働させる計画です。その規模は、およそ2,000ユーザーのVDI環境をプライマリセカンダリ両現用構成で構築の予定です。VDIを皮切りに、上場企業の銘柄管理を担うシステムや投資家等へ情報配信を行うシステムなど、全ての情報系システムを対象として計画されています。最終的には、情報系システムのミッションクリティカルなシステムもNutanix上で稼働させる予定です。

「Nutanixはソフトウェアベンダーです。今回の情報系システム基盤再構築は、ハードウェアを選ぶのではなく、ソフトウェア 定義の潮流と我々のニーズを踏まえてどのソフトウェア技術をどのように展開するのかということが本質にありました」

株式会社東京証券取引所 IT開発部 情報システム部長 坂本忍氏

期待される効果

特に運用管理は、大きな効果を期待されています。「事前に現状の運用およびクラウド環境で行う運用から約800件の運用項目の洗い出しを行い、各項目の内製化について検討を行った結果、95%を内製化できると判断しました。」と柳沢氏。自分たちで運用できる環境を構築することで、デリバリータイムを大幅に短縮できると語ります。「現状の価値よりも、将来の価値を想定したうえでのコンセプトです。その環境づくりの第一歩を踏み出すことができました」と坂本氏は評価します。

また、従来の3層構成の構築では多くの時間とコストが費やされてきましたが、Nutanixによって設計から稼働までのプロセスでさまざまな効果が期待できると坂本氏は力説します。「これまで行ってきた基本設計から詳細設計、実装、テストまでのプロセスが劇的に変わるはずです。Nutanix Prismというソフトウェアが、これまでのシステムインテグレーションの工程をすべて補ってくれているわけです。おそらく設計部分だけでも半分以下の工数になってくるのではないかと期待しています」。また、柳沢氏は、「Nutanixの場合、設計書はWord数枚程度で、単にパラメーター設定するぐらいで運用できるのです。これまでの運用はなんだったのかと感じるほどでした」と語っています。

VDI環境について岩村氏は「リソースの予測は難しく、最初から潤沢なリソースを用意するわけにもいきません。Nutanixであれば、運用後に万一リソースが不足した場合でも、すぐに容量追加ができる安心感があります。スケールアウトしやすい点はとても助かっています」と評価します。

Nutanixに対する評価については、「Nutanix Prismのロードマップを見ると、四半期ごとに機能が飛躍的に向上しているのがわかります。私たちもNutanixを活用して、常に新しいことに挑戦していきたいと思います」と坂本氏。今後はネットワークの仮想化技術に関連する機能追加も予定されており、自分たちが享受すべき機能はどんどん活用していきたいと語っています。

今後の展望

今後は、VDI環境の稼働を目指しながら、数年かけて新たな情報系システム基盤を稼働させるために粛々と進めたいと柳沢氏は語ります。「いつまでもシステム基盤部分に人もリソースもかけるわけにはいきません。Nutanix Prismによってシステム基盤管理の自動化を進めていきながら、情報系システム全体としてはアプリケーション部分、つまり“攻め”の投資に注力できるような環境を作っていきたい」と柳沢氏は意欲的です。

また坂本氏は、テクノロジーの進化に応じて何を取り込むのかを常に見直しながらシステム基盤を見ていく必要があると説きます。「現状ではテクノロジーの進化に柔軟に対応できる環境を意識して設計されています。稼働がゴールではありませんので、常に見直しながら最適な環境づくりに取り組んでいきたい」と語っています。

Nutanixは、ITインフラストラクチャーをその存在さえ意識させない「インビジブル」なものに変革することで、企業のIT部門が、ビジネスに直結したアプリケーションやサービスの提供に注力できるようにします。Nutanixのエンタープライズクラウドプラットフォームは、Webスケール技術とコンシューマーグレードなデザインによって、

サーバー、仮想化機能、そしてストレージを、耐障害性能に優れ、高度なマシン・インテリジェンスを備えたソフトウェア定義のソリューションとして統合しています。広範なエンタープライズ・アプリケーションに向け、予測可能なパフォーマンス、クラウドのようなリソース活用や強固なセキュリティ機能、さらにシームレスなアプリケーションモビリティ機能を提供します。