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すべてのビジネスがサブスクリプションビジネスになれるだろうか

カルビン・へニック*/フリーライター

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Salesforce社の初期メンバーで同社にて最初の最高マーケティング責任者を務めたティエン・ツオ氏は、いつもボールの向こうに目を向けていた--彼は70年代から80年代初頭にかけてニューヨークで育ったが、その時代と環境は、「テクノロジー」というものが、周りにいるほとんどの人々の頭の中ではまだ最先端ではなかったと、後に指摘している。

ツオ氏は、初期のIBM社製パソコンで遊びながら育った。そして彼はシリコンバレーに行くことが自分の「運命」だと感じ、チャンスを得てカリフォルニアに移り住んだ。

90年代後半から、ツオ氏はSalesforce社の幹部として、ビジネスソフト革命の初期に頭角を現した。

ソフトウェアのデリバリーモデルは、基本的にはまったく新しいものであったため、ツオ氏はサービス(SaaS)やサブスクリプション型のビジネスモデルに大きな可能性を感じていた。

そして2007年、ツオ氏はすべての企業がサブスクリプション・エコノミーを成功させることを使命とするビジネスマネジメント・SaaS企業Zuora社を共同設立した。

「私たちのビジネスは、サブスクリプション・ビジネスモデルがソフトウェア企業に限らず、毎日の様々なビジネスがサブスクリプションになることに賭けた」とツオ氏は語っている。

「そして2020年、あなたが目にしていることはまさにそれです。企業は皆、サブスクリプションベースのビジネスに変わりつつある」とツオ氏。

ツオ氏は自身が出版した本に知見を示している。

2018年ベストセラー「購読:サブスクリプションモデルがあなたの会社の未来となる理由ーーそしてそれについて」には、業界がどのようにビジネスを展開しているか、そして、モノの販売から製品やサービスへのアクセス提供にシフトしていることが書かれている。

このビジネスの変化は、ツオ氏が呼ぶサブスクリプション・エコノミーに生命を吹き込んでいると言えるだろう。

また、最近、株式を公開している多くのソフトウェア企業が、サブスクリプションモデルを取り入れていることを考えると、本書はこれから起業したい全ての人のために読む必要があると言っても良いほどの本だ。

ツオ氏は、サブスクリプションモデルがなぜ企業と消費者の双方にベネフィットをもたらすのか、現状をどのように変化させているのか、そして思い切った決断に企業が何について考慮する必要があるのかについて説明している。

ポストプロダクトの世界に参入

「人々は製品を望まない。サービスを望んでいる」とツオ氏は主張する。

「私たちは、オーナーシップの面倒な問題に対処し、さらに多くの製品を収容できるように、もう1つの製品を購入するつもりはない」とツオ氏。

「私たちが望んでいるのはサービスです。 携帯ひとつで、A点からB点の移動が出来て、エンターテインメントにアクセスし、仕事をやり遂げたいのです」とツオ氏は語っている。

このような消費者の要望から、ツオ氏はサブスクリプションビジネスが技術だけにとどまらないと自信を持っている。それどころか、最終的にはほぼすべてのビジネスで標準となるだろうと予測する。

10年以上前にZuora社が設立された時でも、消費者はすでに、DVDのようなレンタルサービスから、Netflix、Zipcarなどのサブスクリプション有料サービスに移行し始めていた。

それ以来、消費者と、ビジネステクノロジーの革新によって、起業家は無数のライドシェアリング、ストーリーミングメディア、その他サービスを月額、あるいは年額のサブスクリプションに基づいて開始することができた。

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ツオ氏 「当時でさえも、製品を買うというアイデアが時代遅れになることはわかっていました」

ツオ氏によると、サブスクリプションモデルはリースと異なり、それ自体はサービスの提供よりも製品のファイナンスに関するものだという。

ツオ氏 「本当のサブスクリプションモデルは利用者に柔軟性を与えます。サービスは、自由に始めることができ、設定も変更でき、そして一時停止することもできます」

サブスクリプションモデルでは、利用者はコラボレーターになる

従来の製品展開を踏まえたビジネスモデルでは、企業は何年にも渡って、何百万ドルもかけて消費者が望む製品を作ろうとしている。

そして、彼らのプロセスを導く指針は、自身の感性と少しの市場調査だけだ。これは、急速な技術革新に直面している世界では、ますます困難になる。

ツオ氏 「サブスクリプションモデルは、顧客がデザインモデルに参加することを可能にする」

ツオ氏は続けるー「私たちは、セールスフォースを展開した初めにそのことを発見しました。例えば、サービスを始めて、利用者の声に耳を傾けたことで、私たちが当初予想していた方向性とは少し違った場所へと私たちを導いてくれました。利用者から情報を集めることで、イノベーションへのアプローチを考え直すことができるようになったのです」と語った。

ツオ氏によると、サブスクリプションを提供している企業は、消費者がサービスをどのように利用しているかについて、はるかに見やすくなる傾向があるという。

「これらの企業は顧客を再発見している」とツオ氏は述べている。

企業は投資家を教育しなければならない

ツオ氏曰く、従来のビジネスからサブスクリプションビジネスへと移行する際の大きな課題のひとつに、投資家層とのコミュニケーションの取り方について考える必要があると指摘する。

ツオ氏 「セールスフォースが最初に公開された際、ウォール街はこのモデルを理解しておらず、教育とエバンジェリズムには何年もかかりました」

しかし、いま世の中は変わった。サブスクリプション・ソフトウェアは、現在では一般的なものになり、この分野の業界を注目する投資家は、このビジネスモデルがどのように機能するかを概ね理解している。

しかし、他のセクターの企業は、将来より多くの収益を保証するためには、今より少ない収益であるこのサブスクリプションモデルを取り入れることが、実は理にかなっているのかについて、投資家を教育する必要があるとツオ氏は話す。

ツオ氏 「例えば、あるモデルでは、いまあなたに10ドル与えていて、もう一つのモデルでは次の10年間で月額10ドルを与えている」

ツオ氏は続けるー「二つ目の取引は、一つ目の取引よりも優れていることはわかっているが、それは財務諸表のどこにも示されない。だからこそ、年間経常収益、解約率、顧客獲得コストなど、本当に重要になり始めたものについて、さまざまな測定基準を示す必要があるのです」。

変革にはコラボレーションが必要

ツオ氏によると、サブスクリプション・ビジネスモデルでは、部署を超えたより高度なコラボレーションが必要となるという。

従来のモデルでは、サイロ設計、製造、販売、マーケティング部門が分かれている。しかし、サブスクリプションモデルでは、これらのチームは互いにより密接に協力し合わなければならない。

サブスクに「移行すること」は皆のメリットになる

サブスクリプションモデルへの移行で恩恵を受けるのは企業だけではない。

「エンジニアは、顧客が自社製品をどのように使用しているかについて、より多くのデータを得ることができます」とツオ氏は述べている。そして、営業チームは顧客の満足度を維持することに集中することができ、注文が増えるだろうと予測する。

「以前のマーケティングは、製品を提供するかもしれない、あるいは提供しないかもしれないブランドメッセージを広告に出していた」とツオ氏は述べている。

ツオ氏 「今日では、マーケティングはエンジニアとの経験を創造し、営業担当者は消費者との深い関係を構築し、財務部門は年間計画を立てる際に頼りになる予測可能な収益を得ています。サブスクリプションは、これらのビジネスを構築するためにとても優れた方法です」

エンタープライズクラウドソフトウェア企業のニュータニックスは、Zuora社のクライアント。ニュータニックスが2018年にITハードウェアとソフトウェアの企業から、ソフトウェアに特化した企業へと進化したのに伴って、ニュータニックスの経営層も従来のソフトウェアライセンスからサブスクリプションのビジネスモデルへと移行した。

「ニュータニックスは、サブスクリプションへの移行の申し子です」とツオ氏。
今では、ニュータニックスは新しいビジネスモデルに移行してわずか5年と四半期で、サブスクリプションが収益の82%を占めるようになった。

ニュータニックスのCEOであるディラージ・パンディは、サブスクリプションは顧客にとってより便利で、変化するニーズに対応するために必要な俊敏性を与えることができると述べている。

パンディ 「IT業界以外では、2020年以降にサブスクリプション・ビジネスモデル以外の企業が株式を公開することはないと予想しています」(VMBlog)

「それにはトップのコミットメントが必要です。メッセージングの戦略的方向性に一貫性を持たせ、顧客を重視することが必要です」とツオ氏。

また、ツオ氏は「すべてのビジネスは、消費者が実感できる価値提案を作成しなければならないでしょう。そして私は生涯消費者でありたいと思います」と話す。

ツオ氏は、様々なビジネスリーダーと話すことと彼の会社が日々行っている調査から、サブスクリプションモデルがすべてのビジネスの未来を形作っていくと確信している。

「サブスクリプションベースのビジネスモデルに移行したら、もう後戻りはできません」とツオ氏は話した。

(2020年6月3日, THE FORECAST by NUTANIX)
記事構成:ニュータニックス・ニュース! 編集部, Nutanix Japan

*カルビン・へニック氏はフリーライター。BizTech、Engineering Inc.、ボストン・グローブ誌などに寄稿している。

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