Nutanixでは、2年目となったレポート「Nutanix Enterprise Cloud Index」で企業のプライベート/パブリック/ハイブリッドクラウドの導入計画を評価した後も、近年の動向が金融機関にどのような影響を与えるかに関する理解を深めるため、データのさらなる分析を行っている。レポートでは世界中の500社以上の金融サービス企業を分析している。
その結果、金融業界におけるハイブリッドクラウドの展開(プライベートクラウドとパブリッククラウドの両方でワークロードをホスティングすること)は他のすべての業界より進んでいるが、複数のパブリッククラウドサービスを利用することに関しては遅れを取っていることが明らかとなった。一方で、金融機関の91%が、ハイブリッドクラウドが理想的なITモデルだと回答していることから、ほとんどの金融機関ではハイブリッドクラウドによるアプローチをクラウドファースト戦略としていることが明白だろう。また回答企業の51%が、最新のクラウド対応型データセンターを含むハイブリッドクラウドインフラを今後3~5年以内に導入完了する予定と回答したことは、着目に値する。
その理由とは
回答企業の60%が今後のクラウド戦略に最も大きな影響を与えるのはセキュリティだと声を大にするのは、驚くことではない。2018年の世界経済フォーラムでは、金融犯罪や詐欺が1兆ドル規模で行われていることや、2017年の1年だけで企業がマネーロンダリング対策に約82億ドルを費やしていることが明らかになった。セキュリティリスクや政府の厳しい規制を考慮すると、消費者データを保護するためには、安全なクラウド戦略が非常に重要になる。調査によると、回答企業はハイブリッドクラウドを、求められる柔軟性と必要なコントロール性の両方を持ち合わせた最も安全な IT 運用モデルと評価している。
アプリケーション移行の柔軟性は重要:調査対象となった金融機関の約3分の2)(71%)が、パブリッククラウドで稼働している1つ以上のアプリケーションをオンプレミスに戻す計画があると回答している。オンプレミス回帰の理由としては、セキュリティやコンプライアンス、パフォーマンス、管理の容易さ、コストなどが挙げられている。金融機関は柔軟性も重視しているため、データセンターをはじめとするIT運用のモダナイゼーションにも力を入れている。実際、2022年までには、金融サービス企業は、ワークロードの18%でのみレガシーデータセンターを利用する見込みで、ハイブリッド環境の導入がより顕著になっていくと予想されている。
金融業界におけるインフラ決定において重要な役割を果たしているのは未来の働き方とデジタルトランスフォーメーション:調査では、リモートオフィス/ブランチオフィス (ROBO)で勤務をする従業員をサポートすることがクラウドの利用を決める動機だったと答えた企業は30%近くにも上った。これは、業界平均を大きく上回っている。リモートワークの増加、顧客体験におけるデジタルトランスフォーメーションの役割の高まりが影響していると言えるだろう。
今日、金融機関は、デジタルトランスフォーメーションの様々な段階を経ていく中で、採用すべきスキルを先んじて考えておく必要性を認識している。ハイブリッドクラウドの採用が進まない短期的な原因として、回答企業のうち66%がハイブリッド環境を管理するツールに対する不安、30%がハイブリッドクラウドのスキル不足、23%がクラウドネイティブ開発のスキル不足を挙げている。デジタルトランスフォーメーションを最優先に考えると、未来の金融業界においては、これらのスキルを持ち、組織をハイブリッドクラウド時代へうまく導くことが出来る人材が求められるだろう。
金融サービス企業がハイブリッドクラウドに向けて野心的な投資を計画していることは、その計画に明確なメリットを見出していることを示しており、これまで以上にセキュアかつ効率的で、ユーザー中心のクラウドツールの採用が進むと予想している。