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データセンターは第二のウーバーへ

トム・マンガン*/B2Bテクニカルマーケティングライター


HCI(ハイパーコンバージドインフラストラクチャ)や企業向けクラウドソフトウェアといったイノベーションは、どのようにしてデータセンターを新たなテクノロジーと結びつけ、ITを近代化に導いたのだろうか。Cyxteraのザック・ヒリアード氏に伺いました。

データセンターといえばエアコンの効いた部屋でコンピュータがひしめき合う光景が浮かぶだろう。ウーバーは自動車を有料でシェアするドライバーと乗客とをつなぐサービスだ。世の中にこれほど違うものもそうないように思えるが、データセンターは今、ますますライドシェアリングサービスのようになってきている。 どういうことかご説明しよう。

ライドシェアリング企業の主な仕事は、実際は自動車やドライバーや乗客がどうこうということではなく、エンドユーザーに利便性を提供することだ。ライドシェアリングサービスの魅力といえば、自動車を自分で用意しなくてよいという点ではないだろうか。

購入もリースもしないのでオイル交換は必要ない。パーキングを探す必要もなければ、ホテルで駐車スタッフにチップを払うこともない。

夜中の12時47分、ダウンタウンにあるお気に入りのクラブからヘトヘトになって出てきたら、家まで車で送ってもらうしかないだろう。それも今すぐに。そんな時、スマートフォンを取り出してライドシェアアプリで数回タップすれば、指定したドライバーが来てくれる。支払いもアプリで完了だ。これがウーバーの利便性なのだ。

クラウドコンピューティングのテクノロジーにイノベーションが起きたことで、これと全く同じようなビジネスチャンスがデータセンターを所有する企業に到来している。所有する資産を活用して利便性の高いソリューションを提供し、新たな顧客やこれまでにない収入源を獲得しているのだ。

利便性の時代のデータセンター

それまでハブアンドスポーク方式が当たり前だったデータセンターの世界に、クラウドコンピューティングは構造的な変化をもたらした。昨今、クラウドサービスの登場によって、データセンターの運用は分散化が進んでいる。必要な時に必要なリソースを使うことができて場所も選ばない。

しかし、こうした利便性に伴う副作用がデータセンターに余剰や未使用のキャパシティが発生するという問題もある。企業はこの未使用の資産の有効な活用法を必要としている。これは、まさにウーバーで言うところの、ドライバーが余ったシートに乗客を乗せたい構造とよく似ている。

データセンターのウーバー化を目の当たりにしたのが、Cyxtera Technologiesでサイトリライアビリティエンジニアリング担当のシニアディレクターを務めるザック・ヒリアード氏だ。Cyxteraはテキサスを拠点とし、世界中でデータセンターの提供を行うほか、クラウドやハイブリッドクラウドに対応したセキュリティやアナリティクス関連のさまざまなソフトウェアサービスを手掛けている。

「Nutanixのサービスを使い、ベアメタルをas-a-service方式で販売する技術パートナーがいました」とヒリアード氏は振り返る。そのパートナーとしてNutanixを選んだ理由は、コンピューティング、ストレージ、そしてネットワークといったリソースをクラウドで割り当てる作業が、NutanixのHCI(ハイパーコンバージドインフラストラクチャ)プラットフォームならば、極めて簡単にできるという理由からだった。

「Cyxteraは、世界中に59のデータセンターを所有しています。データセンターのポートフォリオは、Cyxteraのメイン事業です。ですから、顧客のハイブリッドクラウド戦略とこのデータセンターをマッチさせるにはどうすればいいか、常に考えています」とヒリアード氏。

Nutanixのソフトウェアはほとんどどんなサーバーでも、コンピューティング、ストレージ、ネットワークを管理できるため、多くの組織がこれを採用して正確に必要なところへリソースの割り当てを行っている。

例えば、可用性の高いNutanixのサービスなら、特定の領域にバックアップを取ることも可能だ。HCIというサービスが登場する前、企業は適切な場所に余剰キャパシティ見つけるために、サービスが稼働するまでに数ヵ月はかかっていたかもしれない。HCIはこの時間を劇的に短縮できるのだ。

利便性とコストを両立

クラウド運用でありがちな困難にCyxteraも突き当たっていたと、ヒリアード氏は話す。他社の所有するサーバー上にスペースを借りれば、サーバーをまるごと購入して管理するより安く済むため、クラウドベースのサービスは小規模であれば経済面で非常に効率的だ。

しかし、クラウドプロビジョニングの規模が大きくなると、最終的にはクラウドベースのサービスがデータセンターのコストを超えてしまう。Nutanixのサービスを今ほど利用していなかった時、Cyxteraはこうした状況に置かれていた。

「例えるならば、リフトやウーバが大して利益を生まないまま走っているのと同じような事態に陥っていたのです」とヒリアード氏。

NutanixのHCIプラットフォームを利用したことで、顧客が求めるクラウド関連サービスの大半を提供しながら、総保有コストを40%以上削減することに成功した。
自社の環境における未使用のキャパシティを収益化したい時、これを叶える便利なツールが、HCIソフトウェアなのだ。

自動車整備士がハイテクの道へ

テクノロジーの道に足を踏み入れる前、ヒリアード氏は内燃エンジンを扱う仕事に明け暮れていた。

ヒリアード氏 「私は33歳なので若手に入ると思います。かつては自動車整備士として働いていたこともありました。ずっと自動車が好きで、『趣味を仕事にしてはだめ』という母親のアドバイスに耳を傾けませんでした。そうして自動車関係の仕事に就いたわけですがやはりあまりよいものではありませんでしたね」
UnixやLinux、そしてデータセンターの領域を父親が経験しており、ヒリアード氏も同じ分野の仕事に落ち着くことになった。

「まあやってみるか、という気持ちでした。データセンターにはエアコンがありますし、清潔な仕事です。手が傷ついたり、泥にまみれたりすることもありません」とヒリアード氏。

データセンターで働き始めた当初、ヒリアード氏は夜12時から翌朝10時までのシフトで勤務していた。データセンターのトラブルシューティングや、顧客のサーバーがダウンした際の復旧作業など、すぐに仕事を覚えてまもなくチームを牽引する立場となった。

ヒリアード氏 「私はオタク系の人間ですが対人関係の能力も多少あったので、マネジメントとどう話せばいいか理解していたのです」

その後は開発やコンフィギュレーションマネジメントに挑戦することになった。ヒリアード氏にとって6社目となるCyxteraではKubernetesやコンテナ化の領域に没頭しています。

「コンテナ化できるものはした方がよいというアドバイスを顧客に対して積極的に行っています。あらゆるワークロードをコンテナ化できる巨大なエコシステムがCyxteraにはあるからです。これを進めるには、納得感を得られるフローを作る必要があります」とヒリアード氏。

以前は開発プロジェクトを進めるにあたり、ITチームにリソースを事前にリクエストしなければならなかった。Kubernetesを使い始めたことでヒリアード氏だけでなくほかの社員も、そのプロセスから解放された。

ヒリアード氏 「現在、デベロッパーにはクラスター単位で容量を割り当てています。そのクラスターの範囲でなにをしても、別の誰かに影響することはないと99%確信しています」

続けてー「私はディスクスペースの外にいるわけですから、開発環境に入ることもありません。デベロッパーは文字通り自由ですよ」とヒリアード氏。

これこそがHCIと新しい企業向けソフトウェアがもたらす利便性なのだ。自動車のシェアでドライバーに副収入をもたらすテクノロジーと同様に、こうしたイノベーションによって企業はデータセンターという自動車の運転席に乗り、新たな目的地を目指すことができるのだ。

 

(2019年12月13日, THE FORECAST by NUTANIX)記事構成:ニュータニックス・ニュース! 編集部, Nutanix Japan

*トム・マンガン氏はライター。ベテランのB2Bテクノロジーライター兼エディターであり、クラウドコンピューティングとデジタルトランスフォーメーション領域を専門としている。

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