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アカデミー賞受賞作品「フォードvsフェラーリ」が2020年のテクノロジーについて語るもの

 トム・マンガン*/ B2Bテクニカルマーケティングライター

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1960年代の自動車業界の激しい勢力競争を描いた映画が第92回アカデミー賞の音響編集賞と編集賞に輝いた。この映画から過去50年間に起きた、ビジネスの取り組み方についての変化について考えることができる。

テクノロジーの世界には、常に『フォードvsフェラーリ』の構図があった―。アカデミー賞を受賞した『フォードvsフェラーリ』をご覧になられただろうか。アメリカの巨大自動車メーカーとして名を馳せるフォードのCEOが、レーシングカーの偉人として知られるイタリア人、エンツォ・フェラーリを打ち負かそうと、金に糸目をつけず勝負を挑む物語)まだ映画を観ていなければ、想像する『フォードvsフェラーリ』は、きっとこんなイメージだろうー。

手に汗握るカークラッシュ、緊張極まる臨場感。映画でまず描かれるのは、登場人物が激しく意見を戦わせる場面。『フォードvsフェラーリ』では、テクノロジーの発展については詳しく描写されておらず、そうした側面に期待していると物足りなさを感じるかもしれない。しかし、「サイズとスピードのバランスをどこでとるか」、あるいは「どこまでを自動化を導入するか」など、果てしない挑戦を続ける企業の姿はしっかりと描かれている。まさにあらゆるテック企業が抱える葛藤を体現している。

1960年代におけるビジネスの進め方が、2020年代におけるそれとは異なっていたということも、この映画から知ることができる。当時、GMやクライスラーと同様に、フォードは潤沢なテクノロジー資源を保有しており、アメリカではその他大勢の競合から抜きん出る存在だった。一方、エンツォ・フェラーリは、精巧なスタイルとパフォーマンスで自動車業界を驚嘆の渦に巻き込んだが、事業の継続には財政的な支援を必要としていた。

余談だが、1969年にフェラーリ株の50%を取得したフィアットが、1988年のエンツォ死去後、フェラーリの全株式を取得した。

変わって今日、テクノロジーが一般的に誰もが使えるようになり、ある意味で公平に競争できる環境が整った。これは50年前には想像もできなかったことだ。クラウドテクノロジー、モバイル機器、そしてSaaSアプリケーションが登場し、自社の規模がどうであれ、巨大企業を相手に戦うことができるようになった。例えば、ウーバーやリフトは自社で車両を保有していないが、テクノロジーの力でタクシー業界に革命を起こした。

2020年、イタリアで始まっている新しいストーリー

『フォードvsフェラーリ』のようなダイナミックな競争は、あらゆる業種、または専門分野でも展開されている。APIや機械学習、そしてSaaSプラットフォームなど、最新のデジタルツールを使ったデジタルマーケティングの領域もそう。こうしたツールを使えば、ブランドの認知度向上、リード創出の強化、効率的なカスタマーエンゲージメント、ロイヤルティプログラムの推進など、従来からあるマーケティング業務において時間の短縮を図ることができる。

グローバル展開するテクノロジー領域専門のコンサルティングファームは、それこそフォードやフェラーリのような世界有数のブランドを顧客に抱えて、こうしたツールを導入して業務に取り組んでいる。ただ、こうしたツールは大手企業だけのものではない。規模や所在地にかかわらず、いまや、どんなコンサルティングファームでも利用することができる。

Diennea社は、デジタルマーケティングを手掛けるイタリアのコンサルティングファーム。同社でCISO(最高情報セキュリティ責任者)を務めるラファエレ・ペンナ氏にとって、こうしたツールの活用は重要な課題だ。Diennea社は、ミラノ、ボローニャ、そしてフランスのパリにオフィスを展開している。モータースポーツ用のオートバイメーカーである「ドゥカティ」、「世界自然保護基金」や「国境なき医師団」といった非営利組織など、世界に名だたる企業や団体を顧客に持ち、マーケティング戦略の立案を行っている。

イタリアにおける多様な中小企業層を象徴するように、比較的小規模な事業者も顧客に名を連ねている。ペンナ氏は、イタリア各地のマーケティング企業を対象に、新しい戦略やテクノロジーの活用を支援し、カスタマーエンゲージメントにつなげている。

ペンナ氏は取材に際し、次のように述べる――「デジタルマーケティングの変化はとどまるところを知りません。新たなテクノロジーや開発のフレームワーク、これまでなかったコミュニケーション手段が、ひっきりなしに登場しています。テクノロジーの絶え間ない進化に顧客が遅れをとらないよう、サポートすることがDiennea社の役割です」。

デジタルマーケティングの領域には、個人運営の小さな事務所から、Diennea社と同規模の事業所、そして世界的に展開する巨大ファームまで、あらゆる規模のコンサルティング企業が存在している。まさに、第二次世界大戦後にM&Aで組織を拡大、強化したアメリカの自動車メーカーのように、最大手のIT系コンサルティングファームは、クラウドやモバイル機器の可能性を最大限に活かす戦略を立てて、デジタル環境設計を手掛ける企業の買収に着手している。

仮想化、コンテナ技術、HCI(ハイパーコンバージド・インフラストラクチャー)などのテクノロジーからなる広範なエコシステムを構築することにより、巨大企業は自社のコンピューティング環境をカスタマイズし、本当に必要とされるサービスの創出に焦点を合わせようとしている。

Diennea社の顧客をサポートするために、ペンナ氏も同様のテクノロジーを取り入れている。イタリアで広がるデジタルマーケティングのエコシステムは、そのままイタリアの社会を映していると、ペンナ氏話す。

衣類のオンライン販売というイノベーションを巻き起こしたYoox、そしてソーシャルトラベルウェブサイトのWeRoadは、デジタルに遅れをとる企業も多い中、快進撃を続けている。イタリアのデジタルマーケティング市場は、2016年から2018年にかけて年率11%の成長を遂げ、その規模は650億ユーロを突破した。

ペンナ氏によると、イタリア企業のうち約95%は職人の技術に重きを置く小さな事業体であり、そのマーケティングリソースは非常に限られているという。同時に、デジタルマーケティングは機械学習などの技術分野にも急速に入り込んでいる一方、政府機関は企業によるデジタルデータの使用に対し、制限を強化している。

様々な事情が入り組む環境下で、進化を止めるかやりきるかはIT部門にかかっていると、ペンナ氏は話す。これは、市場投入までの時間短縮という価値を生み出すことができれば、フェラーリとの競争においてフォードが渇望したような競争優位性を顧客に提供することができるということだ。

「残念ながら従来のIT基盤では、ソフトウェアのリリース管理でスピードアップを図ることも、人為的ミスを削減することも、運用コストを見積もることも困難です。こうした要素はすべて、弊社だけでなく顧客の事業目標達成を阻む足かせとなります」とペンナ氏。

「ニュータニックスのHCIテクノロジーを採用したことで、Diennea社の事業運営は進化を遂げ、当然、顧客サービスへも大きく寄与しました。HCIは、コンピューティング、ストレージ、そしてネットワークの機能を、コモディティサーバにインストールして1つのソフトウェアパッケージに統合したもので、従来のデータセンターインフラストラクチャに存在していた制限を打開する手立てとなった、とペンナ氏は話す。

ペンナ氏は続ける――「ニュータニックスを採用してから、自動化比率が上がったほか、コンピューティングリソースやストレージリソースの使用が最適化され、ITインフラストラクチャがシンプルになりました。新しいサービスの提供にかかる時間が、各段に短くなりました。市場投入までの時間短縮が実現したということです」。

「さらに、ニュータニックスでは保存データを暗号化できるので、個人情報の扱いに係るヨーロッパの新しい規制に対し、Diennea社におけるコンプライアンスの水準は高まる結果となりました。弊社は以前より高い競争力を手に入れることができました」とペンナ氏は話した。

新しいツールでこれからの競争に打ち勝てるか

映画『フォードvsフェラーリ』の時代、イタリアのエンツォ・フェラーリはあまりにも偉大で、ヘンリー・フォード2世はフェラーリに勝利するため、資金を限りなく投入したという。 こうした競争は、現代でも起こり得るだろうか。フォードとフェラーリに関していえば、今はもっと差し迫った問題を抱えているというのが現実的な課題だろうか。

自動車業界では、あらゆる企業がテスラのような競合の脅威にさらされているほか、気候変動といった環境問題への対策も進めなければならない。勿論、フォードもフェラーリも、こうした問題を抱えている。

フォードが次に発売する予定の車はマスタングの電気SUV。対してフェラーリは極めてパワフルな公道仕様車を市場へ投入しようとしている――V8エンジンと3つの電動モーターで968馬力を生み出すハイブリッドカーだ。

確かに、両社とも思い切った一手を打ったといえるだろう。しかし、電気自動車や自動運転が主流となった時、この大手2社が生きのびているかどうか、いまはまだわからない。

資本集約度の低い市場に身を置く中小企業の将来は、比較的明るく見える。コンピューティング技術が広まって多くの人に共有された結果、機械学習の進歩とも相まって、潤沢で強力なテクノロジーにどんな企業でも手が届く時代が到来しているのだ。

フォードやフェラーリが、競争力を保つために「あるツール」を導入したとする――イタリアのコンサルタントが提供すれば、ミラノのローカルな商店が同じツールを使用することもあり得るだろう。壮大な映画に匹敵するようなストーリーではないかもしれないが、2020年代のテクノロジーにおいて、大きな進化となるだろう。いま、どんな立場にもチャンスが巡ってきているのだ。

(2020年4月21日, THE FORECAST by NUTANIX)
記事構成:ニュータニックス・ニュース! 編集部, Nutanix Japan

*トム・マンガン氏はライター。ベテランのB2Bテクノロジーライター兼エディターであり、クラウドコンピューティングとデジタルトランスフォーメーション領域を専門としている。

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