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リモート学習、その陰で奮闘するプロフェッショナル

カルヴァン・へニック*/フリーライター

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新型コロナウイルスがまん延するなか、授業の継続にテクノロジーがどのように活用されたのだろうか。スイスの職業訓練センターIDMの事例について、同センターのIT責任者に伺った。

新型コロナウイルス危機の下、教師や学生をリモート学習のテクノロジーで支えようと、自身も在宅業務を行っていた時、スイス、ベルンにある職業訓練センターIDMでレネ・ビグラー氏は、ソーシャルメディアで1つのミームを偶然目にした。

「あなたの組織では、誰がデジタルトランスフォーメーションをリードしていますか?」

キャラクターがそんな質問を投げかける。

選択肢1:CEO – いいえ。選択肢2:CTO – これもいいえ。最後に濃い赤色のペンが走り、3番目の選択肢をまるで囲む。

3番目の選択肢―それは「新型コロナウイルス」だったのだ。

ビグラー氏は、IDMでIT責任者を務めている。工業、サービス業、そして服飾デザインのスキルを学べる公立職業訓練校で、16歳から22歳までの学生を受け入れている。

スイスのベルン近郊に5つのキャンパスが点在しており、教員数は延べ300人程度、総勢3,500人の学生が在籍している。

学生は普段、週1~2日をキャンパスで過ごし、ほかの日は実地研修に向かう。職種は多岐に渡り、自動車整備士、建設エンジニア、大工など様々だ。

しかし、新型コロナウイルスのまん延で国の大部分が封鎖され、教師も学生も自宅から出られなくなった。こうした状況でも授業を継続しようと同センターは奮闘を重ねたわけだが、この時全面的に頼ることになったのが、テクノロジーによるソリューションだったのだ。

機能しているものはなにか、欠けているものはなにか、多くの学びを得ている最中だーこの経験の先に、システムを改善するチャンスが訪れるだろう

ビグラー氏は、同センターで2014年に初めてNutanixクラスタを導入した。

現在、Nutanix AHV(ハイパーバイザー)を備えた15ノードを2つのデータセンターで実行しており、インフラストラクチャサービスといったバックエンドシステムのワークロードを全面的にホストするほか、エンドユーザーに仮想ワークスペースを提供するCitrixのワークロードもカバーしている。

同センターでは、ストレージへの要求が高まる中、これに対応するためNutanix Filesを主要なストレージサービスとして採用している。

ビグラー氏は「いまはある意味、システムが極めて重要な局面を乗り切れるかどうか、リアルな状況下で試されているようなものです」。

新型コロナウイルスがヨーロッパ全域に広がっていた3月、「機能しているものはなにか、欠けているものはなにか、多くの学びを得ているところです。この経験の先に、システムを改善するチャンスが訪れるのです」と、ビグラー氏はこのように述べた。

ポイントはシンプル化と標準化

教室の授業であれば、教師がスタートさせればよく、学生に質問があれば答えることもできる。しかしリモート学習では、学生が自力でビデオ会議に入らなくてはならないだけでなく、場合によっては学習ツールへのアクセスを求められることもある。

このプロセスは複雑なものであってはならない。やり方がわからない場合はメールで教師に質問できるとはいえ、ログインのサポートだけで半日が過ぎてしまった、ということにならないよう、ツールは極めてシンプルでなければならない。
職業訓練センターIDMでは、リモート学習の大部分がコラボレーションツールのMicrosoft Teamsを通して行われている。

チャット、ビデオ会議、そしてファイルストレージなど、Microsoft Teamsには様々な機能が複数備わっており、これを使用することで、授業を問わず、一貫性の高い教育体験を享受することができる。

テクノロジーに戸惑うことなく、学習に専念することが可能なのだ。

「全員がそれぞれMicrosoftのユーザーアカウントを持っているため、シングルサインオンを採用しています」とビグラー氏。

「各教師が異なるプラットフォーム使えば、混乱が生じてしまいます。メインのツールを1つにしぼり、シンプルな環境を提供したいのです」とビグラー氏は話した。

アクセスは依然として課題

学生の大部分はPCや高速インターネットを利用しているが、スマートフォンやLTE接続に依存している学生もいる。

「継続して連絡を取り合い、脱落する学生を出さないことがいちばんの目標です」と、いまのところはどうにかやれていると、ビグラー氏は話す。

しかし、コロナ禍によって、デジタル環境における格差が浮き彫りにし、これを埋めるために学校として努力を続けることの重要性が示された。

忍耐は美徳ー完璧は求めない

すでにMicrosoft Teamsのようなツールがあり、リモート学習をサポートする環境が整っていたという点で、職業訓練センターIDMの教師は幸運だったといえる。

しかし、だからといってニューノーマルへの適応に苦労しなかったわけではない。教室での教授法をデジタル向けに変換するにあたり、最適な方法を模索し奔走したのだ。

「多くの教師にとって、これは大変な仕事です」とビグラー氏。「特にすべてのツールに精通しているというわけでなければ、授業の準備にはかなり時間がかかるでしょう」と続けた。

ビデオを使ってライブ授業を行う教師もいれば、ワークブックから問題を課題としてだし、メールやチャットで学生をサポートする教師もいる。

当然だが、多くの教師は自宅で妻や自分の子どもと一緒に暮らしている。子どもの学習をサポートし、家事をこなしながら、仕事もまっとうしなければならないのだ。

この時期、本来は学生の評価をつけなければならない。学校からは、当面指導や学習に集中し、学生の評価については心配しないよう、教師に指示を出していた。

新しいツールを試すチャンス

いまのところ、教師には使い慣れたツールをメインに使ってほしいと、ビグラー氏は考えている。

ただ、学校はいまの時間をチャンスだと捉えており、将来的によりよいリモート授業を実現させるため、新しいツールの可能性について探っていく方針を示している。

ビグラー氏 「学校はLMS(学習管理システム)を採用すべきであると、複数の教師から提案がありました」

大きな変化が起こる中、新しいプラットフォームを全校展開すれば混乱を招く可能性があるため、ビグラー氏を始めとする職員は、これを避けたいと考えた。ただ、関心を持っている教師にはLMSの試用を許可した。

将来的に学校がLMSを使っていくかどうか、判断する材料を得ることができるからだ。 ビグラー氏は教師たちにこう伝えた。

ビグラー氏 「今はLMSを採用するタイミングではないかもしれません。ただ、興味があるのなら試しに使い、学生からフィードバックを集めてもらえないでしょうか。そうすれば、今後LMSを採用すべきかどうか評価できますから」

危機は改善の好機

リモート学習へ突如移行したことで、学校のITシステムにおける小さい、しかし衝撃的な課題が表面化した。

ビグラー氏にとっては解決すべき事項を把握するきっかけとなった。例えばある課題として、当初、多くの学生が自宅から自身のユーザーアカウントへうまくログインすることができなかったのだ。

ビグラー氏 「学生にリモート学習を開始させた最初の数日間は、大きな課題にいくつも直面しました。一例として、多くの学生が多要素認証システムに登録していなかったことが挙げられます」

続けて、「キャンパス内では、多要素認証を使う必要がありません。しかし、自宅からシステムにログインする場合、あるいはパスワードをリセットした時も、多要素認証に登録している必要があるのです」とビグラー氏。

学校はヘルプデスクを通し、学生に情報を詳しくかつ迅速に伝えた。現在、多要素認証の登録を後押しする方法について検討を行っているという。

「キャンパスでも月に1回程度多要素認証を行うよう、義務付けることも有効かもしれない」とビグラー氏。

また、教師はリモート授業で使用したツールを持ちよって、学校のイントラネット上にある「教訓」サイトで知恵を出し合っているという。

必要なのは直感的なインフラストラクチャ

データセンターのインフラストラクチャは、危機的状況においてはスポーツゲームの審判のような存在、つまり、その存在が気付かれないほど、よいという。

職業訓練センターIDMは、NutanixのHCI(ハイパーコンバージド・インフラストラクチャ)を採用しており、2つのデータセンターで15ノードを実行している。
「現状稼働が非常に安定しているという点で、助けられています」とビグラー氏。

また、ビグラー氏は、将来DaaSソリューションであるNutanix Frameに投資し、Nutanixの環境を拡大する可能性について言及した。それはデバイスの種類やユーザーの場所を問わず、アプリケーションにクラウド経由でアクセスできるようになるからだ。

ビグラー氏 「必要に応じてスケーリングも素早く行えますから。いまのような状況に備え、こうした機能を持っておくことは有効です。需要が増えれば、Nutanix Frameを通して処理能力をクラウドから簡単に追加できるからです」

前代未聞の危機下であっても、信頼できるインフラストラクチャに投資しておけば、指導や学習のサポートに集中し続けることができると、ビグラー氏は話す。
「データセンターで稼働中のサーバーについて、不安を抱く必要などありません」とビグラー氏。

ビグラー氏は続けて、「私たちはやるべきことをほかにもたくさん抱えており、今現在インフラストラクチャの問題に対処する時間は持ちあわせていません。ですから、信頼性が高く直感的なシステムが極めて有用なのです」と話した。

(2020年6月4日, THE FORECAST by NUTANIX)
記事構成:ニュータニックス・ニュース! 編集部, Nutanix Japan

*カルヴァン・へニック氏はフリーライター。BizTech、Engineering Inc.、Boston Globe Magazineなどに寄稿している。

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