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ローコード・ノーコードの自動化がIT 人材に求められる理由 

テトム・マンガン */B2B テクニカルマーケティングライター 


コンピュータの時代が幕を開けて以降、人間の手による作業や繰り返しのプロセスが、自動化によって削減されてきた。

いまや、ユーザーインターフェースの進化や機械学習 によって、コードのほとんど、あるいはまったく書かずにアプリケーションを構築することが可能となっている。

デベロッパーを始めとする IT 人材の仕事は、この自動化により大きな恩恵を受けている。今後数年、IT 人材 がさまざまなハイテク領域でキャリアを築くにあたり、 ローコード・ノーコードによる自動化がアドバンテー ジになりそうだ。

実際、こうした新世代の自動化技術に対応できる人材は、そうでない人に比べ、競争上非常に有利なるだろう。これは、ソフトウェア開発の現場で数十年を過ごした Nutanix のテクノロジスト、プリンシパル DevOps アドボケートのマーク・ラヴィと、プロダクト管理担当 シニアディレクターのハリー・ヤンの見解だ。

The Forecast の取材に 2 人は、IT 人材の仕事環境にお いて、ローコード・ノーコード開発のアプリの役割がかつてないほど大きくなる理由を解説した。

ラヴィ 「通常、IT の人間は手作業でセットアップす ることに慣れているのです。チューニングもメンテナ ンスも手作業です。ローコード・ノーコードの本質は、 こうしたプロセスをさらに自動化することあります」

自動化は組織の効率を向上させて市場価値を押し上げ る。IT 人材にも同じことがいえるとラヴィは考えている。

Nutanix の運用管理プラットフォーム Prism Pro のプロダクト管理を担当し、シニアディレクターを務めるヤンは、ほとんどの IT 人材にとって自動化の広まりは 歓迎すべき進歩だと話す。

ヤン 「自動化が進めば、退屈で実際書きたくもない コードを書かなくていい分、やりたいことに集中でき るのです」

ラヴィとヤンは、Nutanix の HCI(ハイパーコンバー ジドインフラストラクチャ)提供をサポートするプログラムを指揮している。HCI は、ストレージ、コンピュー ティング、そしてネットワークをソフトウェアで仮想化し、単一のアプリケーションとしてコモディティサー バーで実行する。

HCI でアップタイムや変更を管理すると、コンフィギュ レーションに色々と問題が発生するため、実行時に監視が必要だ。問題が発生するとアラートで IT 担当者に 通知される。

Nutanix では、こうしたプロセスを最適化・自動化する 顧客のサポートに、ローコード・ノーコードアプリが極めて重要な役割を果たしている。

「こうして自動化された手順は、いわばビジネスを止めない『連続的オペレーション』なのです」とラヴィは話す。

ローコード・ノーコードアプリの登場 

従来のソフトウェアでは、コンピュータが実行するべき動作をプログラムするため、構文やロジックを慎重に組み立てる必要がある。コードの記述から、コンパイル、 テスト、展開、そして更新まで、細部に至るまで細心の注意を払わなければならない。ほんの少しタイピングを誤っただけで、何時間にも及ぶ苦労が水の泡となることもある。

1940 年代に初めてコンピュータ言語が登場して以来、 こうした状況がずっと続いてきた。1970 年代に入ると GUI(グラフィカルユーザインターフェース)の設計が 始まり、ユーザーがコードを目にすることはなくなった。

次の 40 年のうちには、ユーザーインターフェースはさらに進化し、「ポインタを置いてクリック」から「スワイプして話しかける」へ変わっていくかもしれません。ほとんどの GUI は PC やモバイルデバイスを使う消費者 が、手軽に操作できるように設計されているものだ。

GUI を設計・展開しても、デベロッパー自身に恩恵があるかといえば、必ずしもそうではない。デベロッパーの仕事はいまだ多くが手作業で行われており、時間もかか り、人為的ミスも発生しやすいという状況にある。

ローコード・ノーコードソフトウェアはこれにパラダイ ムシフトを起こした。GUI と機械学習のアルゴリズムを組み合わせることで、繰り返しの作業を素早く簡単に自動化するアプリケーションが登場し、ミスの削減や生産 性の向上につながったのだ。

アプリによってはまったくコードを書く必要がない。代 わりに、フローチャートのようなシンボルを操作して、自動化する作業をマッピングする。コードを書く場合で も、その量はずっと少なくなった。

こうした手法がアプリ開発を民主化し、初心者でもエキ スパートと同じように開発に参加できるようになったの だ。

「私の業務でもバックログは増える一方です」とラヴィ。

ラヴィは「手作業の方が多い状況ですが、自動化はこうした状況から抜け出す唯一の方法です。ビジネスアナリストであっても、IT 部門の新人であっても、また 50 年の経験を持つベテランであっても、あらゆる人のスキルセットにローコード・ノーコードが必要不可欠です」と話した。

Nutanix のローコード・ノーコード実践 

IT の専門家ならスクリプトを作成し、日常のルーティ ン作業はほとんど自動化できるだろう。しかし企業規模の IT オペレーションとなると、ハードルはぐっと高 くなる。

ヤンは「多様化した環境であればあるほど、管理するスクリプトやプログラムが多くなります。すべてを自分が管理するとなると、悪夢のようです」と話す。

どんな企業や組織にとっても自動化はメリットになり得るが、問題はカスタムコードを用いたソリューショ ンに投資できるかどうかだ。

ヤン 「高度な設計技術なしでは、この規模の自動化は 実現しません。アプリのプロビジョニングなど、ライフサイクル管理を自動化するには、高度な設計技術や、 自動化に関する専門的な知識が必要です。これを習得しようとすれば、高い費用がかかるかもしれません」

ヤンが言うには、自動化はすべて同じというわけでは なく、学習曲線は急なカーブを描く傾向にある。

IT 部門では日常的な業務に関しては自動化を加速して 問題の解決を進め、新たなビジネスニーズに対応して いかなければならない。

ヤン 「日々の業務については迅速に自動化を進めるべきです」

第三者のデベロッパーに自動化を委託するという方法もあるが、費用は高額になるだろうとヤンは予見する。こうした状況を鑑みて、Nutanix は運用管理ツールの Prism Pro に X-Play という機能を追加した。

この機能を使用すると、複雑なテクノロジープロセス を段階的なアクションを組み合わせて自動化することができる。

X-Play は機械学習を使ってユーザーの動作をモデリン グし、ニーズを満たすより速いソリューションを突き止めるのだ。

例えば、Nutanix の顧客の多くは、仮想マシンを展開 し、ワークロードの実行やデータの保存に活用している。仮想マシンをプロビジョニングするということは、 それ相応の容量のストレージやネットワークの帯域幅 を割り当てる必要があるということを意味する。

需要が急増して仮想マシンのプロビジョニングがうまくいかなかった場合、恐らく仮想マシンを再構成し、 手動で容量を増やさなければならないだろう。

X-Play は、容量が不足してくるとアラートを発する。また、コンピューティングリソースを自動で追加するというプロセスをあらかじめ設定しておくことも可能 だ。

そうしておけば、朝の 4 時にアラートを受け、IT 担当者が手動で対応するなどということはしなくて済む。

「自動化をさらに進めたいと考えています。そうすれば、 事態の収拾のため真夜中に目を覚ます必要がなくなります。もちろん、早朝 4 時に奮闘した結果、ミスが発 生するということもないでしょう」とラヴィは話す。

ローコード・ノーコードアプリの構築を成功に導く鍵は信頼性であるとヤンは指摘する。ベンダーに委託すると、どのように動作しているのかデベロッパー以外誰も把握していない「ブラックボックス」の自動化になりかねない。

特にミッションクリティカルなワークロードの場合、 自動化の過程でバグが起こることを顧客は非常に警戒する。ヤンは思い返して次のように話す。

ヤン 「ある顧客にこういわれたことがあります。『自動化のバグで仮想マシンが削除された場合、解雇されるのは誰だと思いますか? 自動化のプログラムを書いた人ではありません。仮想マシンを管理する私なのです』--いわゆるブラックボックスの自動化では信頼されないのです」

Nutanix のサービスでは、自動化の設定を自社で行うことができる。ポイントアンドクリックの GUI でシンプ ルかつ分かりやすく操作でき、壊滅的ミスは起こさな いように作られている。

「自社で自動化を行えば、その仕組みをしっかりと把握 することができます」とヤンは話す。

自動化が IT 人材のキャリアを作る 

IT 人材はスペシャリストからジェネラリストへと進化する必要があると、ヤンは説明する。

ヤン 「ネットワーク、データベース、ストレージ、そして仮想化など、かつてはすべての領域にスペシャリ ストが存在していました。しかし今の業界では、こう した体制は効率的ではないし、サイロ化の温床になる という考えが主流です」

広大なインフラストラクチャを単一のアプリケーショ ンに統合する Nutanix のような企業が現れ、細部に特化した深い知識はそれほど重要ではなくなってきてい る。

ヤン 「IT 管理者は様々な知識を多く身につけておく必 要が出てくるでしょう。知識が浅くて済む分、広範な領域を理解していなければなりません。これがいま必 要とされるバランスです」

ラヴィは DevOps アドボケートの立場から、アジャイ ル開発の原則はソフトウェアの連続的な展開に向かっていると述べています。コードの記述やテストや更新を行う IT 担当者に、休む暇はないということだ。

ラヴィ 「DevOps の概念、そしてローコード・ノーコー ドという手法を取り入れれば、非効率性を排除し、自 動化の推進や人為的ミスの削減にもつながり、個々のプログラマーの能力や経験に差があっても、ひとつの コミュニティとしてビジネス価値の向上に貢献することができます」

テクノロジーの専門家への要求は拡大し、最終的には IT に関するあらゆるものごとに課題が増えていくだろ う。ビッグデータ、エッジコンピューティング、5G 通 信、機械学習、仮想化などすべてがその存在意義を高め、 同時に複雑さは増すばかり。手作業を続けていてはこうした課題に太刀打ちできず、メンテナンスもできな くなる。

ラヴィ 「現実的に考えて、私たち人間はいま以上に働くことはできません。1 日は 24 時間しかないのですから。では、よりスマートに働くにはどうすればよいで しょうか--自動化へ舵を切るのが、なによりの方法 です」

(2020 年 6 月 17 日 , THE FORECAST by NUTANIX) 記事構成:ニュータニックス・ニュース! 編集部 , Nutanix Japan

*トム・マンガン氏はライター。ベテランの B2B テクノロジーライター 兼エディターであり、クラウドコンピューティングとデジタルトラン スフォーメーション領域を専門としている。

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