お客様

住民サービスに必要な自治体基盤をNutanixに集約することに成功

 3層構造の複雑な環境から脱却し、シンプルな運用を実現

自治体紹介

 薩摩川内市

業界

自治体

課題

  • 既存環境のハードウェアが保守切れを迎える
  • 3階層での仮想化基盤による運用負担が大きい
  • テープによるバックアップ、DR環境でリストアに手間と時間がかかる
  • ICTに明るくない担当者が赴任した場合の引継ぎ負担が大きい
  • 定期的に発生する基盤刷新での構築・移行コストを軽減したい

ソリューション

  • Nutanix Enterprise Cloud OS
  • Nutanix Prism
  • Nutanix Files

アプリケーション

  •  基幹システム
  • Active Directory 
  • WWW 
  • ウイルス対策サーバー
  • 資産管理システム
  • DNSサーバー
  • プロキシサーバー
  • メールリレー
  • WSUS 

導入によるビジネスのメリット

  • 自治体基盤を全てNutanix上の仮想化基盤に展開
  • DR専用環境を用意することなく、標準機能でDR環境を整備
  • Prismの視認性が高く、状況把握が容易
  • 操作マニュアルなどを確認せずとも運用できる
  • ストレージを意識することなく仮想サーバーの追加が容易に
  • 9時間かかっていたリストアが5分ほどで実施、人手に頼らないDR環境を整備
  • ディスクI/Oが高速化、処理の短縮が可能に
  • 将来的な引継ぎの手間と時間を軽減
  • 5年後の移行も負担なく行うことが可能な基盤を整備

「以前は9時間ほどかかっていたリストアが、わずか5分程度。ダウンタイムを最小限にできたことで、住民の方に安心してサービスをご利用いただける環境が整備できました」

企画政策部 情報政策課 上田 雄介氏

「ほかのソリューションに比べてPrismは視認性が高く、見ただけで何が起きているのかが把握しやすい。パートナーに問い合わせることなく対処できるようになっています」

企画政策部 情報政策課 四元 裕二氏

課題

2004年に川内市など複数の町村が合併し、新たに誕生した薩摩川内市。薩摩半島の北西部に位置し、川内平野のほぼ全域を占める本土区域とともに、3つの有人島を中心とした甑島(こしきしま)区域で構成されており、鹿児島県最大の面積を誇っている自治体だ。白砂青松の海岸線をはじめ、ラムサール条約に登録されている藺牟田池などみどり豊かな山々や湖、そして地形の変化の美しい甑島など多彩な自然環境を有しており、風光明媚な地域の魅力を生かした観光にも力を注いでいる。「市民が創り 市民が育む 交流躍動都市」の実現を目指し、少子高齢化など構造的な重要課題への取り組みを加速させながら、農林水産業や商工業の振興への推進を図っている。

そんな薩摩川内市では、「人と地域がICTでよりよくつながり  安全・安心と活力のあるまち  薩摩川内」を基本理念として、地域情報化を総合的かつ計画的に推進する「薩摩川内市地域情報化推進計画」を策定。産官民や地域、施策がよりよくつながる環境づくりに向けて、ICTを活用して「第2次薩摩川内市総合計画」で掲げられているさまざまな施策を強力にバックアップしている。そのICT 技術を活用するための基盤づくりに取り組んでいるのが、基幹システムから各種ネットワーク、職員が利用するPCまで、庁内で利用するICT 環境の企画や構築、運用までを一手に担っている情報政策課だ。

そんな情報政策課が今回新たに取り組んだのが、2012年に導入した基幹システムの刷新プロジェクトだった。「3層構造で構築された仮想環境上に250を超える仮想サーバーを稼働させ、基幹システムをはじめ、認証基盤やセキュリティ基盤などさまざまな環境を整備してきました。この仮想化基盤で利用してきたハードウェアの保守切れを契機に、新たな基盤づくりに取り組むことになったのです」と同課 上田氏は語る。

ソリューション

新たな基盤づくりにおいて念頭に置いたのが、これまで可搬性のあるテープを利用したバックアップ、DR環境からの脱却だった。「仮想サーバーのスナップショットをLTOテープに記録し、距離の離れた建屋に保管して万一の事態に備えていましたが、データを戻す作業だけで1日余りを要することも。住民サービスを安定かつ継続的に行うためにも、人手に頼らないDR環境が必要だったのです」と上田氏。また、自治体では2~3年おきにジョブローテーションが実施されるが、ICTに明るくない担当者が赴任した場合でも運用しやすい環境づくりを目指していたという。さらに、定期的に発生するシステム基盤刷新の際に、構築や移行に関連したコストが大きな比重を占めていたことも課題の1つだった。「5年おきに大きな移行の手間と莫大なコストが発生するため、これら刷新時の負担を軽減できる仕組みも求められていたのです」と上田氏は説明する。

新たな基盤づくりに向けて検討を開始するなかで、当初はクラウド環境も視野に検討を進めたものの、住民情報など機微な情報の取り扱いやクラウド利用のガイドラインが十分に整備されていなかったこともあり、オンプレミス環境での基盤づくりが基本的な考えだった。ただし、柔軟性の高いクラウド環境のような仕組みをオンプレミス環境でも実現できる仕組みを目指したという。そこで注目したのが、サーバーやストレージ、ネットワークが統合された環境で利用できるHCI(Hyper Converged Infrastructure)であり、なかでも注目したのがNutanixのエンタープライズクラウドだった。「個別にシステムを用意せずともDR環境が負担なく実現でき、シンプルな構成で複雑な操作も不要です。数年後の刷新時にも最小限のコストで移行できる点は大きな魅力でした」と上田氏。

実際には、HCIが持つアーキテクチャや運用性能、障害時の挙動、システム追加の容易性、管理画面の操作性などを総合的に評価すべく入札を実施し、最終的に要件を満たしたNutanixのエンタープライズクラウドが、庁内のインフラを統合的に動かすための基盤として採用されることになる。「複数のHCIが候補として挙がりましたが、クラスタごとに1つしかデータストアが作成できないものもあれば、新たな環境追加にダウンタイムが発生してしまうものも。また、パッチ適用などの際に再起動が必要で、複数の管理コンソールを使い分けることで運用の負担が大きいなど、ソリューションごとにそれぞれ課題も散見されました。これらの課題も考慮したうえで、最終的にNutanixが我々の要件を満たしたのです」と上田氏は振り返る。

導入効果

これまで3 層構造で構築されていた仮想化基盤を刷新し、現在はNutani x が本番環境に8ノード、DR サイトに3ノードを展開、住民記録や税金、福祉関連などさまざまな業務を動かす基幹システムを中心に、Acti ve Directory やWebシステム、ウイルス対策、資産管理、DNS、プロキシ、メールリレー、WSUSなど各種機能を実現するための仮想サーバー群がVMware 上で動作しており、その数は250を超えている。また、Nutanix Filesによってファイルサーバー機能を実装しており、自治体として必要なインターネット分離については、VLANによって論理的な分離を可能にしている。「Nutanix が標準で装備しているDR 機能を活用することで、個別にサードパーティ製品を導入することなくシンプルに運用できています」と情報政策課 四元氏は評価する。なお、従来の仮想化基盤では3 つのラックを占有せざるを得なかったが、今は実質的な容量は1ラックで構成できるほどスリム化され、電源のランニングコストの軽減にも貢献しているという。

日々の運用管理では、毎日登庁したタイミングでPrism 上からエラーの状況を確認しているが、視認性の高さから障害の状況判断も容易になっている。「サーバー単位でパフォーマンスやアラートも確認できるなど状況把握を瞬時に行うことができます。画面を見ただけで手順が理解できるため、マニュアルを見る必要もありません」と四元氏は評価する。ファイルサーバーの運用も、容易にバックアップが取得できるため、以前は3 日ほどでプロテクトを実施していたが、今では1 週間まで変更するなど試行錯誤しながら最適な運用が可能になっている状況だ。また、ストレージなど3 層構造を意識せずとも仮想サーバーが新たに構築できるなど、操作性の高さも評価の1つに挙げている。

新たな環境に移行したことで、ディスクI/O へのアクセスが迅速になったという。「以前は取得した300GBほどのスナップショットを2 時間かけて削除していましたが、今は1 時間以内に完了できるようになるなど、一部のサーバーではレスポンスが向上していることが実感できています。DR 環境からのリストアも、以前はテープからのリストアでトータル9 時間ほど必要でしたが、今は5 分もかからずに環境が戻せるようになっています。ダウンタイムを最小限にできたことで、住民の方に安心してサービスをご利用いただける環境が整備できました」と上田氏は高く評価する。なお、システムの運用管理を支援している外部パートナーからも処理が早くなったと評価の声が寄せられている。「バッチ処理のプログラムを走らせたときも、以前は3 時間ほどかかっていたのが、今では10 分ほどしかかかりません。処理の高速化が明らかに体感できています」と四元氏。

今後

現在は運用が開始された段階ではあるものの、運用のなかで5 年先の刷新に備えて仮想環境における必要なリソースを洗い出していくための情報を収集していきたいという。「オンプレミスの環境は残るものの、いずれはクラウド環境での運用も視野に入れています。移行時に必要なリソースを把握するべく、仮想サーバーの整理をしっかり実施していきたい」と上田氏。また、離島の医療機関が活用している電子カルテシステムなど物理環境で現状運用している医療系の環境も、来年度以降にNutanix 上の仮想化基盤で運用していくなど、庁内全ての環境をNutanix 上で動かしていく計画となっている。

さらに、今はオンプレミスでDR 環境を構築運用しているが、Nutanix Xi LeapなどDRaaS(DR as a Service)などのサービスにも期待を寄せている。さらに現状ハイパーバイザーにVMware ESXiを利用しているが、いずれは無償で利用できるNutanix AHVへの展開も検討していきたいと上田氏に語っていただいた。

*2020年3月時点