市場競争力強化に貢献するNutanix でシンプルな運用と柔軟な拡張性を実現
東北電力企業グループのシステムインテグレーターである東北インフォメーション・システムズ株式会社(TOiNX[トインクス])。情報システムの企画・開発・運用保守のほか、自社データセンターを使ったクラウドサービスや、企業グループ内で培った経験・技術を活かしたセキュリティ関連サービスなど、総合的な情報システムサービスを、東北地域を拠点に展開しています。お客様とともに、お客様の期待を超える感動を届ける「ITで、感動を、ともに。」をスローガンに、東北電力企業グループをはじめ、企業グループ以外のお客様にも積極的にソリューションを提供しています。
情報通信業
「ハイパーバイザーのライセンスコストがAHVを使うことでゼロにできるのは圧倒的なメリットでした。我々にとって重要なのは、仮想化基盤として確実に安定動作できるかどうかです。移行も含めて実際の環境で検証した結果、AHVで十分対応できると確信しました。」
東北電力企業グループのシステムインテグレーターである東北インフォメーション・システムズ株式会社(以下、TOiNX [トインクス])は、2001年に東北電力企業グループの情報系3社が合併して設立されました。お客様とともに、お客様の期待を超える感動を届ける「ITで、感動を、ともに。」をスローガンに、ITで実現する新たな価値を地域社会に提供し続けています。
TOiNXでは、主なサービスの1つとして、高い柔軟性を持つ仮想ホスティングサービスである「彩雲」を提供しています。彩雲は、パブリッククラウドとして利用可能なだけでなく、専用線やVPNと接続することでプライベートクラウドとしても利用できます。彩雲のサービスが開始されたのは2012年。
基盤の老朽化によるシステム更改が必要になったと営業本部 営業企画部 企画提案推進課 副主任 高橋悠輝氏は振り返ります。「老朽化対応として、単に環境を入れ替えるだけでなく、今ある課題を整理したうえで、多様化するお客様のニーズに対応できる柔軟な環境に刷新しようと考えました」。
実際に仮想化基盤の構築を担当した開発運用本部 基盤技術部 技術統括課 担当課長 白川雅洋氏は、「これまでの環境は、サーバーやストレージを個別に構築する3層構成で、基盤そのものが複雑化していました。マルチベンダー環境では運用や保守なども大変です。それぞれ専門知識を習得するための教育コストも膨らんでいました」と当時の課題を語ります。また、拡張する際にはベンダー間の互換性やシステムへの影響などの調査が必須で、設計はもちろん手順書の作成など多くの作業が発生していました。「単純にシステムを拡張するだけでも、1~2か月かかることもあった」と開発運用本部 基盤技術部 技術1課 副主任 野田直樹氏は振り返ります。
新たなプラットフォームで目指したのは、複雑化した3層構成の環境から脱却し、柔軟に拡張できるシンプルな基盤でした。同時に、教育コストを抑えるためにも、SANのような専用ストレージではなく、汎用的なリソースによる基盤構築が望まれました。「以前は5年間の事業拡張を想定した設備投資でしたが、新しい環境では、経営的な視点からも、スモールスタートが可能で、柔軟に拡張できる基盤が求められました」と白川氏。そこで白羽の矢が立ったのが、ハイパーコンバージドインフラストラクチャーでした。「ちょうど検討時期に注目され始めていました。拡張性が高いというメリットは理解していましたので、検討してみようということになりました」と野田氏。
複数の製品を比較検討した結果、最終的にTOiNXの目に留まったのがハイパーコンバージドインフラストラクチャーをベースとしたNutanixのEnterprise Cloud OSでした。「Nutanix Prismと呼ばれる付属の管理ツールが使いやすい。ハイパーコンバージドインフラストラクチャー (サーバーとストレージのハードウェア) と仮想化ソフトウェアの両方を一元管理でき、バックアップ機能を個別に用意する必要がありません。UI/UXの優れたデザインで、直感的に操作できる使い勝手の良さはとても魅力的でした。
技術にさほど詳しくなくても容易に管理でき、教育コストの面からもメリットが大きい」と野田氏は評価します。また、「パフォーマンスに課題があった場合、以前はサポートに依頼してボトルネックを見極める必要がありましたが、Nutanix Prism上ではどのレイヤーが課題なのか切り分けしやすく、迅速に改善できる点も大きな魅力の1つ」だと語っています。
また、NutanixのAHVのコストベネフィットが大きかったと高橋氏は力説します。「これまで有償のハイパーバイザーを使っていましたが、AHVを使うことでライセンスコストをゼロにできるのは圧倒的なメリットでした」。競合となる他のクラウドサービスが安価に提供されており、コストはとても重要な要素でした。他にも、「我々にとって重要なのは、仮想化基盤としてお客様のアプリケーションを確実に安定動作できるかどうかです。移行も含めて実際の環境で検証した結果、AHVで十分対応できると確信しました」と白川氏。従来の3層構成と比べても、5年間のトータルコストを大幅に削減できると試算しました。
従来の安定した環境から、先進的なプラットフォームに刷新するための社内コンセンサスを形成できたのは、新しいものに取り組みたいというプロジェクトメンバーの気概とともに、Nutanixの有効性を社内に認知してもらえたことでした。「Nutanixによる勉強会を設けたり、我々が行った製品評価のレポートを他の技術部門と共有したこともありました。Nutanixのような先進的な技術を取り入れることは、会社全体にとっても大きなメリットがあると考えていました」と高橋氏は語っています。結果として、新たな挑戦を選択し、Nutanixを彩雲の新しいプラットフォームとして採用することになりました。
新たな彩雲の仮想化基盤としてNutanix Enterprise Cloud OSのNXアプライアンスを導入したTOiNXは、今後、既存顧客の環境移行を進めていく計画です。仮想化基盤自体は2日程度という超短期間で立ち上がっており、パラメータのヒアリングも含めて半月かからず利用可能な環境が整備できました。「以前の環境では、SANの設定でアクセス制限やボリュームを切るといった煩雑な作業が少なくありませんでした。Nutanixであれば、設計から構築まで含めた期間を半分ほどに短縮でき、仮想化基盤部分にはほとんど手間がかかっていません。大幅に簡略化できました」と野田氏は評価しています。
また、スペースの集約率も高まり、アップリンクスイッチも含めたスペースは以前に比べて25%程度にまで削減されました。「将来のお客様を見込んで、スペースに余裕があるのはとてもありがたいです」と野田氏は語ります。さらに、拡張性については、「以前は、ある程度計画を立てて進めなければならなかったのですが、Nutanixであれば計画や調査のプロセスをすべてカットできます。比較にならないほど簡単に拡張できます。複雑な見積りも不要になるため、お客様にいち早く環境が提供できるのは、大きなメリットです」と白川氏は評価します。
Nutanixが標準のサポートの中で提供する、ブラウザを利用したWeb会議システムを介して行うリモートサポートも評価しています。一般的には、状況を自社で調査したうえでサポートに相談し、調査結果が揃うまでには、早くても1週間程度は必要です。「Web会議の仕組みであれば画面共有が可能なので、その場でログ解析を行ってもらったり、コマンド操作を教えていただいたりなど、対面で円滑にサポートを受けることができます」と野田氏は評価します。高橋氏は「我々はIT基盤にかける時間を最小限にし、お客様へのサービス提供に時間を費やしたいのです。Nutanixの先進性はとても優れており、必要な機能強化のためのアップデートも迅速です。まさに我々が望んでいた環境です」と力説しています。
今回採用したAHVについては、ハイパーバイザーを意識せずに運用可能な状況にあります。「一般的なハイパーバイザーで環境構築する場合、仮想化レイヤーはハイパーバイザー専用の管理ツールで、物理レイヤーはハードウェアベンダーの管理ツールで管理することになります。AHVであれば、すべてNutanix Prism上で管理できるようになります。仮想化レイヤー以下を意識する必要がないため、運用面でも圧倒的に使いやすいです」と野田氏。このAHVを採用したことで、新たに生まれ変わる彩雲では、市場競争力のある価格が提示できるようになったと言います。「AHVの採用により、ライセンスコストを大幅に削減できました。結果として、これまでよりも安価なクラウドサービスをお客様に提供できるようになりました」と高橋氏は評価しています。
今後については、次世代の彩雲をリリースした段階で既存環境を移行させつつ、新たな顧客のために事業基盤を拡張させていきたいと語ります。また、Nutanixの新たな仕組みをビジネスに生かしたいとも考えています。「Prismの拡張機能である『Calm』があれば、アプリケーションが簡単に展開できるようになります。お客様にとっても、オンプレミスとクラウドを一元管理しながら、それぞれの環境を柔軟に選択できるというメリットがあります。この考え方は我々が目指すクラウドの方向性とも合致しているため、今後、彩雲の機能強化に向けて、『Calm』の活用を検討としていきたいと思います」と高橋氏。
また、NutanixのAHVが実装しているマイクロセグメンテーションの仕組みについて、顧客からの要望が高いと分析しています。「最近は標的型攻撃やマルウェア対策などに意識の高いお客様が増えています。仮想マシン間の細分化されたネットワークの可視化とファイアウォールポリシーを使用してセキュアな環境が構築できるマイクロセグメンテーションは、ぜひお客様にもご利用いただきたいと思います」と野田氏は期待を寄せています。
今回、Nutanixは彩雲の仮想化基盤として採用されましたが、これはきっかけにすぎないと高橋氏。「運用性とコストメリットを考えれば、お客様のオンプレミス環境にも適用できるものと考えています。彩雲と同様のスキルセットで他のお客様の基盤を構築・運用することもできるはずです。ここで蓄積したノウハウを生かして、オンプレミスの基盤を検討しているお客様への横展開も視野に入れていきたいです」と今後の展開について語っています。