地方自治体
Nutanix Cloud Platform
「私自身この環境を利用してテレワークの検証を行いましたが、庁内に居るのと変わらない感覚で業務が行えます。行政システムは安定運用が第一ですから、今後も信頼性・安定性の確保に注力しつつ、庁内の働き方改革などに役立てていきたいです」
「現在当市では、テレワーク導入に向けた検証を進めていますが、環境全体の監視もNutanixの専用管理ツール『Prism』で効率的に行えています。問題のある端末の特定や再起動なども簡単に行えますし、非常に使い勝手の良いツールです」
東九州に位置し、瀬戸内に面した大分県の県庁所在地・大分市。古くから貿易や産業で栄えた同市には、ビジネスや観光目的で数多くの人が訪れています。
同市の大きな特長のひとつが、先進ICTの利活用に積極的な取り組みです。2019年に「大分市情報化推進計画」を策定し、「オンライン化の推進」「オープンデータの推進」「マイナンバーカードの普及・活用」「情報格差の是正」「ICTによる業務効率化・産業振興」「情報セキュリティ対策」の6つの視点で、様々な施策を進めています。
こうした背景の中、大分市では、DX実現のカギともされる既存情報基盤のモダナイゼーションに着手する必要性に迫られていました。大分市企画部情報政策課 参事補 兼 ネットワーク担当班グループリーダー穴見 修浩氏は「長年にわたり使い続けてきた基幹ホストを、2020年度末で完全に撤廃しました。各種業務サーバーの仮想統合を実施したほか、RPAやAIといった最新技術の導入も進めています」と説明します。
こうした取り組みの一環として、大分市では庁内端末の仮想化に着手することに決定しました。大分市 企画部 情報政策課 ICT推進室 次長 渡邉 真治郎氏は、その背景を「元々、総合行政ネットワークLGWAN系の業務に携わる会計年度任用職員に対して、業務に使用する端末をその都度割り当てていましたが、近年、どの業務でもPCが必要になり、端末台数が年々増加し課題になっていました。また、マイナンバー系の業務は、従来は数台のホスト専用端末で賄っていましたが、今後のオープン化に伴って一人一台の端末が必要になります。利用する端末が増加し運用が煩雑になることが予想されるため、仮想端末の導入を考えました。
もっとも、新仮想デスクトップシステムの導入にあたっては様々な課題がありました。渡邉氏は「端末の本格的な仮想化は今回が初めてで、当市にもまだノウハウがありません。このため、最初にどのくらいのリソースを見積もっておけば良いのか判断できませんでした。クラウドサービスの利用も検討しましたが、行政で使うのはまだまだ難しい面もあります。予算にも限りがありますので、スモールスタートで徐々に拡張できるようなシステムにできればと考えました」と語ります。
こうした要件をクリアするソリューションとして大分市が着目したのが、ハイパーコンバージド・インフラストラクチャ(以下、HCI)でした。「従来のシステムはいわゆる3層構成で構築していましたが、やはり拡張性がネックとなるケースが多くありました。そこで今回の調達にあたっては、なるべくHCIを前提とした仕様を作成しました」と渡邉氏は述べています。
その結果、新たに採用されたのが、Nutanix Cloud Platform とマイクロセグメンテーションを実現するNutanix Flow でした。 今回のプロジェクトを担当したパートナー 株式会社オーイーシー 公共営業部 公共営業グループ グループ長の阿部俊介氏は、Nutanixを提案に盛り込んだ理由を「業務を止めることなくスケーラブルに環境を拡張していける点を評価しました。当社では他の自治体への導入実績もありますので、行政システムに欠かせない信頼性・可用性の面でも、安心してご活用頂けます」と語ります。また、同社インフラビジネス推進 部 クラウドサービスグループ グループ長の 後藤 裕臣氏も 「ライセンスフリーなハイパーバイザーである『Nutanix AHV』を利用することで、信頼な仮想化基盤を低コストで実現できる点も大きなアドバンテージになると考えました」と続けます。
2020年4月より本番稼働を開始した新仮想デスクトップ基盤は、市民の個人情報を取り扱う重要なシステムだけに、情報セキュリティにも十分に配慮しています。 多要素認証を取り入れてシステムの不正利用を防いでいるほか、万一端末がマルウェアに感染した場合は迅速に切り離せる仕組みも実装しました。 また、外部からLGWAN接続系にアクセスする際は、クライアント証明書を導入した端末モバイルルータの組み合わせでないと行うことができないよう配慮されています。 さらに運用管理面では、デスクトップイメージの展開にCitrixの 「MCS Machine Creation Services」 方式を採用し、マスターのメンテナンス作業などが効率的に行えるよう工夫しています。
システムのオープン化に伴い端末の仮想化に成功しただけではなく、その他にも様々なメリットが期待されています。物理PCを主体とする従来のクライアント環境では、端末によって異なるアプリケーションがインストールされるといった問題がありましたが、デスクトップ仮想化によってクライアント環境の標準化が進めば、運用管理の効率化・省力化も見込めます。
新仮想デスクトップ基盤の導入により、現在、約400台の仮想端末が常時稼働しています。 「現在当市では、テレワーク導入に向けた検証を進めていますが、環境全体の監視もNutanixの専用管理ツール 『Prism』 で効率的に行えています。問題のある端末の特定や再起動なども簡単に行えますし、非常に使い勝手の良いツールですね」 と渡邉氏は満足げに語ってくださいました。
今後、テレワークが本格導入されるとさらに多くのデスクトップが稼働することになります。 穴見氏は「私自身この環境を利用してテレワ ークの検証を行いましたが、庁内に居るのと変わらない感覚で業務が行えます。行政システムは安定運用が第一ですから、今後も信頼性・安定性の確保に注力しつつ、庁内の働き方改革などに役立てていきたいですね」と抱負を述べています。