野村総合研究所、安定稼働のNutanix AHV を採用し、Citrix Virtual DesktopsのVDI 環境を整備 

異なるハイパーバイザー間の円滑な 移行に大きく貢献するNutanix Xtract for VMs 

企業

コンサルティングファームやシステムインテグ レーターとしての顔も持つ、日本最大級のIT ソリューションプロバイダー。未来社会創発 企業としてさまざまな挑戦を続けており、現在 は長期経営ビジョン「Vision2022」を掲げ、 真に意味あるイノベーションの共創に向けて 「グローバル化の飛躍拡大」をはじめとした 5つの成長戦略を推進している。 

業界

ITサービス

ビジネスニーズ

  • VDI利用者の急増で環境増設が急務に
  • 将来的な投資を踏まえ、VMware vSphere Hypervisor(ESXi)からNutanix AHVへの 移行を検討 
  • 負担なく移行可能な手順の確立を目指す 

導入製品

  • Nutanix NXシリーズ
  • Nutanix Xtract for VMs
  • Nutanix AHV

導入メリット

  • フルクローンの占有VDIの移行も含めて約2 か月で移行を完了 
  • VDI環境をすべてNutanix AHVにて稼働さ せることに成功 
  • 全体コストの約2割のコスト削減を実現
  • Prismによって運用管理が集約でき、運用負荷 軽減を達成 
  • Nutanix Xtract for VMsによって移行 作業の自動化を実現、移行作業の効率化 に寄与 
  • 異なるハイパーバイザー間の移行における 簡単な解が提示された 

導入の背景

コンサルティングファームやシステムインテグレーターとしての顔も持つ、日本最大級のITソリューション プロバイダーである株式会社野村総合研究所 (以下NRI)。未来社会創発企業としてさまざまな挑戦を 続ける同社は、長期経営ビジョン「Vision2022」を掲げ、真に意味あるイノベーションの共創に向けて 「グローバル化の飛躍拡大」をはじめとする5つの成長戦略を推進しています。 

同社では、ITを統括する情報システム部門において「IT中期計画2022」を策定し、先進技術やソリュー ションへの積極的なチャレンジを行ってきましたが、その取り組みの第1段階として“先進のワークスタ イルを支えるセキュアな基盤システムの整備”を実施。このセキュアな基盤システムとして、Citrix Virtual DesktopsとMicrosoft Windows10によるVDI環境を構築しました。VDI環境を構築する基盤として は、ハイパーコンバージドインフラストラクチャーを念頭に選定を行い、Citrixとのテクノロジーアライア ンスパートナーであることやVDI環境での実績などを評価し、Nutanix Enterprise Cloud OSを選択。 本社のコーポレート部門を中心に、まず1,000ユーザーに対するVDI環境を整備しました。VDI環境は 「共有VDI」と、ユーザーによるアプリケーション追加が可能な「占有VDI」の2種類を用意し、iPadを活用した デスクトップ環境も提供しています。「実は、これらVDI環境の使い勝手の良さが評判となり、VDI環境を 利用するユーザーが増え続けています」と、デジタル基盤イノベーション本部 デジタルワークプレイス事業 三部 上級テクニカルエンジニア 陶山修司氏は現状を説明します。 

「Xtractにより、対象のVDIと移行先を 指定して実行するだけで自動化できますし、 複数を並列的に動かす多重処理も可能です。 同時に多重処理する台数については、外販に 向けた貴重な知見を得ることもできました。 事前のPoCがあったからこそ」

ソリューション

環境増設にあたって新たに検討したのが、ハイパーバイザーにかかるコストの見直しでした。「当初ハイパー バイザーにはVMware vSphere Hypervisor (ESXi) を採用していましたが、どうしてもライセンスコスト が大きく影響します。このまま計画通り環境拡張を進めると、保守を含め、かなりの負担になることが試 算して改めてわかりました」と陶山氏。そこで以前から着目していたNutanixの無償ハイパーバイザー、 Nutanix AHVを検討。「実はCitrixがAHV用プラグインをリリースするなど、AHVに対応する環境づくりを 進めている発表を聞きつけ、このタイミングで移行するべきだと判断しました」。 

仮に、今後5,000ユーザー規模まで環境を整備した後にAHVへ切り替えることを考えると、既存環境を利 用する多くのユーザーとの調整が求められ、その移行だけで半年や1年という期間と多くの工数が必要に なる可能性も出てきます。「AHVによるVDI環境がうまくいけば、我々のお客さまに提案する際にも、セキュ リティ面だけでなくコスト面でも大きなメリットが提示できます。移行するなら、ユーザー数が少ない今しか ありませんでした」と陶山氏。 

ただし、異なるハイパーバイザー間の移行は同社でも初の試みで、十分な事前検証が求められました。そこ で事前に移行に関するPoCを行うことになりました。ここで注目したのが、Nutanixが無償で提供している VMwareからの移行ツール「Nutanix Xtract for VMs (以下、Xtract) 」でした。「スナップショットを用 いて移行するAsync DRという従来の方法とともに、新たにXtractを試してみることにしました。国内事例 はほぼない状態ではありましたが、AHVへの移行がある程度自動化でき、しかも多重処理が可能な仕組み です。最終的に1,000ユーザーを短期間で移行するには、Xtractが必要だと考えました」と陶山氏。そこで 1週間ほどPoCを実施し、結果としてCitrixの管理サーバー群をAsync DRで、ユーザーのVDI環境はXtract を使って移行することを決断しました。 

導入効果

クラスタの拡張については、新たにAHVで稼働するクラスタを導入し、これまでVMware上で動かしていた Nutanix Enterprise Cloud OSのクラスタからワークロードを移行し、移行が終わったノードについては、 VMwareをAHVへキッティングし直してAHVクラスタに追加することで、2,000ユーザーに対応可能なVDI環境 の再整備をしました。移行については、まずは冗長化されたCitrixの管理サーバーの片系をAsync DRによって AHVに移行し、両現用構成による本番環境での動作を確認、その後MCS (Machine Creation Services) で 展開した共有VDIとフルクローンで展開した占有VDIを、一部の部署で先行してUAT (受入テスト) も兼ねて展開 しました。占有VDIの本格展開は、ユーザーに影響が少ない平日夜間や土日を使い、Xtractを活用しておよそ2か月 で移行させることに成功します。「Async DRであれば、VDI単体でみるとXtractに比べて半分以下の時間で移行 できるかもしれませんが、モジュールのインストールやチェックも含めて手作業が発生します。複数人で作業しても、 とても2か月では終わらなかったことでしょう」と陶山氏。 

今回の拡張では異なるハイパーバイザー間の移行を実現し、VDI環境をすべてAHVにて稼働させました。「サー バーやスイッチ、ストレージなどが統合できたとはいえ、最初の導入時は一部vCenterにて管理せざるを得ない 状況でした。今回のAHVへの移行によって、すべてPrismにて管理できるようになったのは運用側のメリットとし ては大きい」と陶山氏は評価します。バージョンアップもワンクリックで容易に実行でき、運用負荷の少ない信頼 性の高い仕組みが構築できたと満足しています。 

「従来の仮想環境では、古いWindows OSへの対応などレガシーなものにも対応せざるを得ず、その分柔軟性に 欠ける部分もありました。我々にとってはレガシーなものは不要で、新しいAHVが今回のOA環境には最適でした。 1人のエンジニアとしてAHVは面白いと思いました」と評価します。今回AHVに移行したことで、感覚的にはソフト ウェアや保守費用を含めると全体の2割程度の削減が見込めると陶山氏は効果を実感しています。 

移行については、Xtractのおかげで負担なく移行することができたと陶山氏は高く評価します。「Xtractにより、 対象のVDIと移行先を指定して実行するだけで自動化できますし、複数を並列的に動かす多重処理も可能です。 同時に多重処理する台数については、外販に向けた貴重な知見を得ることもできました。事前のPoCがあった からこそ」と陶山氏。 

Xtractの魅力は使いやすさだと、陶山氏は断言します。「とにかく手順がシンプルで、わずか数ステップを経るだけ。 特に移行用の中継サーバーなど用意せずに済み、手順さえ確立できれば、若い技術者やパートナーにも委託で きるでしょう。自動化によって作業ミスも軽減でき、移行における作業品質も大幅に向上できます」。異なるハイ パーバイザー間の移行に悩む人にとって、簡単な解が示されたことが大きいと陶山氏は評価します。 

今後の展望

現在は2,000ユーザーが収容できるVDIの環境を整備していますが、2018年度内に6,000ユーザーに 向けての環境整備も急ピッチで進めています。「利用者の急増に加えて、経営からも重要な顧客情報を扱う 弊社にとってセキュリティは最重要課題で早急に整備するよう要請があり、当初よりも短期間で環境を 整備する予定です」と陶山氏。ただし、基幹ネットワークや一部データ保管に利用しているファイルサー バーのパフォーマンスなど、周辺環境の状況もしっかりと手当てしていく必要があり、まずは既存の環境 を変更せずに増設できる分だけVDI環境を増やす計画です。「以前の3層構成であれば、増設には結構な 設備投資とそれなりの期間が当然かかっていたでしょう。必要な時に必要なだけ拡張可能なNutanixを 選択して正解だったと改めて思っています。今後、AFS (Acropolis File Services) といった機能で既存 ファイルサーバーを代替できるかも検討していきたいと思います。」と陶山氏は語っています