Kubernetes運用の複雑さを解きほぐすマルチクラウド時代の現実解

増え続けるKubernetesクラスターとデータを、安全かつ効率的に運用

企業の IT システム環境にクラウドネイティブな仕組みが広く採用され始めている中で、Kubernetes 運用の複雑さが課題となっている。複数クラウドをまたぐ環境で、いかに一貫性と信頼性を保つか。今求められているのは、「One Platform」のコンセプトに基づく運用効率化を実現する基盤である。

クラウドネイティブ化が現場の生産性を奪っている現状も

クラウドネイティブ時代を迎えた現在、企業の IT 環境はこれまで以上のスピードで変化している。この傾向は生成 AIや AI エージェントの登場によってさらに強まり、データとアプリケーションをいかに迅速かつ安全に扱うかが、企業の競争力を左右するようになっている。こうした中で注目されているのが、コンテナと Kubernetes によるオーケストレーションを中核とするクラウドネイティブ基盤だ。

Kubernetes を本番環境で安定稼働させるためには、ネットワーク、セキュリティ、ストレージ、監視、ログ管理など広範囲に渡る設計と検証が必要だ。また、さまざまな OSSツールを組み合わせて相互に整合性を取らなければならないケースも多く、各ツールが頻繁にアップデートされると、パッチ適用やバージョン管理が非常に煩雑なものとなってしまう。

開発チームと運用チームの分断も深刻だ。プラットフォームエンジニアリングの観点からは、開発者が本来の仕事に集中できる環境が理想だが、現実には開発者がインフラ設定やトラブル対応に追われるケースも少なくない。

マルチクラウドの拡大が運用をさらに複雑化

企業がクラウドを活用する目的の多くは「柔軟なリソース利用」や「コスト最適化」にある。しかし、マルチクラウド戦略を取ると、運用の難易度は跳ね上がってしまう。クラウドごとにネットワーク構成・セキュリティモデル・API 仕様が異なるため、アプリケーションやデータの配置、バックアップ、レプリケーションなどを統一的に管理することが困難になる。

特にKubernetesクラスターが複数環境にまたがる場合、「監視や障害対応が環境ごとに分断される」「バージョンやポリシーの不整合が発生する」「データの可搬性(ポータビリティ)が確保できない」といった運用上の問題が発生する。

さらに、近年はステートフルなアプリケーション、つまりデータを保持するワークロードがコンテナ化されるケースが増えている。これらは永続ストレージやデータ保護を前提とするため、従来のステートレスな Webアプリと異なる管理負荷が生じる。

また、コンテナのスケールイン・スケールアウトに伴い、データの整合性やレプリケーションの管理が難しくなるという問題も生じやすい。災害対策(DR)を考慮すれば、オンプレミスとクラウド、あるいはクラウド間でのデータ移動も必要となる。

Kubernetes 運用をシンプルにする「One Platform」という選択肢

こうした課題に対し、Nutanix では「One Platform」というアプローチを提案している。これはオンプレミス環境やパブリッククラウド、エッジなどの複数の場所で可能な限り同じ構成とツールを用いることで、運用を効率化するというものだ。具体的にこのアプローチは、「Nutanix Kubernetes Platform(NKP)」「Cloud Native AOS」「Nutanix Data Services for Kubernetes(NDK)」などの技術で構成される。以下にその詳細を見ていこう。

1. NKP

NKP は、クラウドネイティブ環境の複雑さを簡素化するために設計されたエンタープライズ向けの Kubernetes ディストリビューションだ。標準仕様の Kubernetes(アップストリーム) に準拠しつつ、オンプレミス、クラウド、エッジといった複数の環境に分散する Kubernetes クラスターを、グループ単位にまとめて一元管理できる、いわゆる「フリート運用」を実現する。

また、直感的な UI を備えた管理コンソールも NKP の大きな強みである。NKP では GUI ベースで構成・監視・権限管理を行える。可視化されたダッシュボードにより、複数環境の状態を即座に把握できるため、効率的かつ安全な ITインフラ運用をサポートする。

さらに、「NKP Insights」機能が全クラスターを横断して設定ミスや脆弱性を自動検出し、修正提案を提示する。この仕組みにより、セキュリティレベルを保ちながら効率的な運用が可能となる。

2. Cloud Native AOS / NDK

コンテナ環境では、かつてのようにステートレスな Webアプリケーションだけでなく、データベースや AI 学習環境などのステートフルなアプリケーションが増加している。これらはデータの永続性が不可欠であり、万一の障害時にもアプリケーション全体を迅速に復旧できる仕組みが求められる。

データ運用とレジリエンスを担うのが Cloud Native AOSと NDK だ。Cloud Native AOS は、さまざまなクラウド上の Kubernetes 環境上で各ノードのローカルストレージを統合して 1 つのストレージプールを形成し、Nutanix のCSI(Container Storage Interface)ドライバー経由で永続ボリュームを提供する。これにより、オンプレミス AOS と同等のデータローカリティ、重複排除、圧縮などの機能をクラウドでも利用可能になり、結果として、Amazon EBS 単体利用に比べてストレージ効率とI/O 性能を大幅に改善できる。

NDK は Nutanix クラスター上の Kubernetes 環境のステートフルなアプリケーションを、Kubernetes アプリ単位で保護するためのソリューションだ。この設定はポリシーベース で行えるため、スナップショットを取得するタイミングやレプリケーション先の選定、復旧方法などをルール化・自動化できる。

例えばあるアプリケーションが MongoDB にデータを保存している場合、NDK はアプリ構成とデータをまとめてスナップショット化し、整合性を保ったまま保護する。従来のようにKubernetesリソースとデータを別々に管理する必要はない。 また、オンプレミスやクラウド間でのデータレプリケーションにも対応しており、マルチクラウド環境での BCP/DR 対策を容易に実現できる。

3. AI Navigator

Nutanix は、チャットボット「AI Navigator」を導入している。製品ドキュメントやサポートナレッジを学習した AI が、管理者の質問にリアルタイムで回答し、問題解決を支援する。 これによって、専門知識が不足している運用担当者でも、経験豊富なエンジニアと同等の知見を活用できる。

Nutanix がクラウドネイティブ分野で掲げる理念は、「ロックインではなく、チョイス」である。顧客が既存のツールやクラウド資産を活かしながら、自社のペースでモダナイズを 進められるようにするというものだ。Nutanix 製 品 は、Kubernetes を取り巻く複雑さを解きほぐし、企業が「インフラの管理」ではなく「価値の創出」に集中できる環境構築へ貢献していく。

Nutanix Kubernetes Platform の全体像

Nutanix Kubernetes Platform の全体像

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