九州工業大学、BYOD学習プラットフォームにNutanixを活用

Nutanix上に Learning Platform as a Service を構築し、eラーニングや他部局システムを集約。 コロナ禍で遠隔講義向けのシステム増強に迅速に対応

業界

学校・教育業界

課題

  • 大学が提供する教室端末からしか教育システムを利用できない
  • 旧仮想化システムの更改とBYOD化を同時に実施しなければいけない
  • 情報基盤機構、学習教育センター、各部局のシステムの個別調達と独自運用管理
  • メンテナンス、アップグレード時のサービスの100%アップタイムの確保

ソリューション

Nutanix クラウドインフラストラクチャー (NCI)

  • Nutanix AOS
  • Nutanix AHV ハイパーバイザー
  • Nutanix Prism

アプリケーション 

  • Moodle 学習支援システム (LMS)
  • 学習教育センター(LTC)データベース
  • 学習履歴データベース
  • アプリケーション配信サービス Numecent Cloudpaging
  • 情報基盤センター(ISC) 認証、DNS, Webサーバー

導入によるビジネスのメリット

  • 学生所有のPCから教育システムを利用できるBYOD環境の実現
  • 学習支援サービスと他部局のシステムの集約
  • 遠隔講義に軸足を置いたCOVIDへの迅速な対応
  • ソフトウェア定義システムにより特殊な専用機材の削減と容易なリソース追加の実現
  • 各部局への環境の払出と容易な管理権限委譲で教育センターの負荷を軽減

 

「Nutanixはソフトウェアなので、サービスとしての学習プラットフォームを簡単に構成することができ、専用機器の必要性を減らすこともできます。 以前はデータベースの保存領域をストレージ専用機に載せていましたが、 I/O 性能が足りなかったため内蔵ストレージに切り替えました。性能が向上し、快適に利用できるようになりました」

課題

九州工業大学は、100年以上の歴史を持つ伝統ある国立大学です。1909年に私立明治専門学校として開学して以来、建学の精神「技術に堪能なる士君子」の養成の実践により、これまで7万人近くの工学系人材を世に送り出すとともに、学術の進展につながる知の創造、産業界の競争力強化並びに地域の発展に貢献してきました。現在では、北九州市戸畑区、同市若松区及び飯塚市に2学部・3大学院(2学府・1研究科) を構え、約5,600名の学生を有する工学系大学として、最先端の教育と研究を行っています。

九州工業大学のシステムは、事務組織が人給やグループウェア、入試、履修申告といったシステムを管理しており、授業で使うシステムについては教育高度化推進機構の学習教育センターが、Moodle学習支援システムによりeラーニングサービスを運用管理しています。

また、全学のネットワークおよびセキュリティ基盤、統合ID管理やメール、教育システムと呼ばれる情報工学教育研究用コンピュータシステムについては、情報基盤機構が管理しています。

「学部や学科、大学院、複数の研究センター、図書館など、それぞれが別々にシステムを持っており、教育研究組織が管理しています。各学部や各学科が独自にシステムを持っていないと授業が成り立たないという、工学系ならではの特徴です」と九州工業大学 情報基盤センター 准教授の林 豊洋氏は話します。九州工業大学には多くのシステムが存在しますが、このうち情報基盤機構が管理する教育システムを刷新することになりました。

ソリューション

2018年まで、戸畑センター講義室と飯塚センター講義室に約400台の端末を用意し、そこで学生が授業を受けたり、プログラミングなどの演習を行ったりしていました。演習用の端末はLinuxとWindowsをディスクレスで起動し、それらの管理をする端末サーバー、学生のホームディレクトリー用のファイルサーバー、仮想基盤、Moodle基盤を運用していました。端末管理サーバーや仮想基盤、Moodle基盤にはCisco UCSを、ファイルサーバーには NetAppを採用し、3層構成のアーキテクチャーで運用していました。

「これらを統合する方向で検討を進めていましたが、2019年度の機種更新に向けて、大きな方針転換が起きました。教室システムの役割が『教室端末提供』から『BYODの支援』を主体としたシステムへと変わることになりました」と林氏は当時を振り返ります。

林氏は、「これまで、授業で使う端末は大学側が提供していましたが、システム刷新を機に、学生が自ら調達した端末を授業や演習で活用する方針になりました。さらに、eラーニングのシステムや他部局のシステムも統合して動作できるようにする必要が出てきました。それに伴い、これまでの仮想基盤とファイルサーバー、ストレージをどうするかが課題になりました」と話します。

「エンジニアとしての視点から、3層構造よりも良い構造や、DASを活用する技術、ソフトウェアベースで専用機に迫る機材がないかと次期システムの検討を進めました。調査の結果、Nutanix のハイパーコンバージドインフラストラクチャー(HCI)が候補に上がり、さっそく機能検証を実施しました」と林氏は述べています。

導入効果

「Nutanixの導入当時はアップデートが頻繁に行われ、1-クリックでの無停止で更新の度、機能が増えたり、性能が向上したりと、非常に興味深い技術であると感じていました。Nutanixはソフトウェアなので、サービスとしての学習プラットフォームを簡単に構成することができ、専用機器の必要性を減らすこともできます」と林氏は語ります。さまざまな製品と比較検討した結果、Nutanix Cloud Platform を導入することになりました。

「2019年にNutanixでシステムを刷新して以来、BYOD基盤やMoodleの大規模プラットフォームとして安定して稼働しています。他部局のサービスも容易に統合することができるので、スムーズなシステム調達が達成できました」と林氏は評価します

2020年に新型コロナウイルスの大流行により、九州工業大学では全講義を遠隔で実施する必要がありました。「すべてのコンテンツをMoodleに移行することになりました。当初は不安でしたが、直感的に操作できる Nutanix Prism の管理画面からリソース量を調整するだけで、サーバー稼働基盤のリソース中 90% を Moodleへすぐに割り当てることができました。 以前はデータベースの保存領域を専用機に置いていましたが、I/O性能が不十分だったため内蔵ストレージに切り替えました。性能が向上し、快適にサービスを利用できるようになりました」と林氏は言います。

今後の展開

九州工業大学では、2020年度末にNutanixを1ノード増設し、2021年度末にはさらに2ノード増設し、他部署から調達した残りのリソースを計画的に統合・集約する予定です。

「Nutanix は、ネットワーク仮想化、データベースの1-クリックでの払い出し(DBaaS)等といった新しいテクノロジー・サービスを提供していると聞いています。今後、そうした新しい技術も活かしながら、当校では、情報基盤の強化やサービスの集約化に取り組んで行く計画であり、これらの目標にマッチするNutanixをこれからも使用していきたいと考えています」と林氏は期待を寄せています。