Nutanix Cloud Infrastructure 7.3:マルチクラスタ運用、ディザスタリカバリ、ネットワーク・セキュリティ機能を拡充

Nutanix Cloud Infrastructure(NCI)7.3 をリリースしました。本リリースでは、管理、ネットワーク、セキュリティ、レジリエンスの各機能を強化し、エンタープライズ環境における柔軟性と効率性の向上を支援します。特に、ワークロードのモビリティ、ディザスタリカバリ(DR)、マルチクラスタ運用への対応が強化されており、自動化機能とセキュリティ制御も一段と高度化されています。

本記事では、NCI 7.3 の進化がエンタープライズ環境にもたらす価値についてご紹介します。

管理の効率化とスケーラビリティ

NCI 7.3 では、マルチクラスタ環境におけるライフサイクル管理(LCM)アップグレードが簡素化されました。管理者は、Prism Central 管理コンソールでソフトウェアとハードウェアのライフサイクル更新を一元管理できます。単一ポータルによるアプローチにより、メンテナンスの複雑さが軽減され、デプロイメントに一貫性が確保されます。

また、Nutanix AHV ハイパーバイザー(AHV)に実装された新しい仮想マシン(VM)テンプレートの配置ポリシーは、クラスタ間へのテンプレート自動配布を可能にし、プロビジョニングの効率化と展開ワークフローの高速化が実現します。分散したエンドユーザーコンピューティング(EUC)ワークロードのクラスタに対しても、中央のロケーションからテンプレート更新やプロビジョニングを迅速に行えるようになります。

さらに、Prism Central の大規模なデプロイが容易になり、利便性も向上しました。単一のクラスタに複数の Prism Central ドメインをインストールできるようになり、ワークロードクラスタの拡張と管理クラスタの統合を同時に実現し、リソースの使用率を最適化できます。管理全体を簡素化するため、コンテキストに応じた推奨機能や関連リソースへの直接アクセス機能により、ユーザーやチームは既存の機能を最大限に活用すると同時に、作業時間を削減できます。

ネットワークとセキュリティを強化

本リリースでは、ワークロードのモビリティ、集中管理、ソフトウェア定義型ネットワークセキュリティがさらに強化されています。

新たに導入された AHV マルチクラスタ仮想スイッチは、クラスタ間のネットワーク構成を簡素化し、シームレスなワークロード移行とクラスタの自動選択をサポートします。また、クラスタ間での IP アドレス管理の一元化により利便性が向上し、仮想プライベートクラウド(VPC)では、マルチクラスタ間の外部サブネットのレジリエンスも強化されています。

Prism Central パスワードマネージャーも改善され、AHV システムアカウントのパスワードを一元管理できるようになりました。これにより、手動での CLI 更新が不要になり、管理者による制御性が向上します。規模に応じたパスワードの変更や、デフォルトパスワードの検出、API を通じた統合も容易に行えるようにないます。

AHV におけるシングルルート I/O 仮想化とネットワークオフロードのサポートにより、VM のネットワーク性能が向上し、スループットが最適化されます。これにより、AHV 上で高性能なネットワーク集約型ワークロードをこれまで以上に容易に実行できるようになります。

また、BGP(ボーダーゲートウェイプロトコル)の機能強化により、広告ルートフィルタリング、広告可能なプレフィックスの増加、BGP コミュニティ、AS パスのプリペンドが導入され、ルーティングポリシーの柔軟性や既存インフラとの相互運用性が向上します。これにより、トラフィックの適切なVPC への誘導や、災害時にトラフィックのイングレスを迅速、容易に切り替えることが可能になります。

Flow Network Security (FNS) 5.2.0 リリースでは、エンティティグループ、vNIC 固有のポリシー、およびグローバルポリシースコープにより、マイクロセグメンテーション機能が拡張されました。エンティティグループにより、セキュリティポリシーで VM 内の特定の vNIC など、複雑なオブジェクトを参照できるようになりました。さらに、同じセキュリティエンティティ内で特定のポートのみを開放できる階層内ルールのカスタマイズや、Active Directory を含む一般的なサービスのための共有サービスポリシーなどの機能が追加され、きめ細かなトラフィック制御が可能になり、VLAN および VPC ベースのワークロード全体でセキュリティの実施がさRに強化されます。

高度なレジリエンスとディザスタリカバリ  

Nutanix AHV Metro Availability ソリューションの Independent Witness 機能では、NCI 上での ESXi ハイパーバイザー展開に対して OVA 形式が利用可能になりました。これにより、デプロイ時のフットプリント削減と、耐障害性、管理性が向上します。Independent Witness機能はフェイルオーバー機能を維持し、インフラへの依存度を低減します。さらに、複雑なネットワーク環境におけるディザスタリカバリ(DR)を効率化するリカバリプランが更新されました。リカバリプランでは、複数ソースネットワークの単一宛先へのマッピング、ソースと宛先間のネットワークマスク長の変更、カスタマイズした静的 IP マッピングの追加が可能になりました。

オンプレミス環境と NC2 on Amazon Web Services (AWS) におけるPrism Central のバックアップとリストア機能に、ポイントインタイムリカバリが追加されました。設定可能な目標復旧時点(RPO)と外部オブジェクトストレージソースを利用することで、ストレージ使用量と RPO のバランスを最適化し、選択した過去の時点からのリストアが可能になります。

Nutanix の Multicloud Snapshot Technology(MST)ソリューションは、スナップショットをAzure Blob ストレージに送信できるようになり、Pilot Light またはZero Compute でのデプロイメントが可能になりました。Marketplace からの容易なデプロイに対応し、リカバリの選択肢を広げます。さらに、MST 保護ポリシーを他のレプリケーションタイプと組み合わせて、セカンダリサイトで同期レプリケーションを行い、サードサイトでMST を使用するなどの要件にも対応します。

これらの機能強化により、災害やセキュリティインシデント発生時にも、業務の継続を支える堅牢なデータ保護が可能になります。

エンタープライズクラウドの革新を継続的に推進

NCI 7.3 は、エンタープライズ向けクラウドインフラをさらに洗練し、スケーラビリティ、セキュリティ、レジリエンスを強化するプラットフォームを提供します。性能の最適化、セキュリティの強化、運用の簡素化などの機能拡充により、モダン IT 環境での効率向上とイノベーションの推進を支援します。

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