NC2 対応の Elastic SAN および Azure VMware Solution 向けの Nutanix Move

執筆者:Nutanix プリンシパル技術マーケティングエンジニア Dwayne Lessner


このたび、Nutanix は、Nutanix Cloud Clusters(NC2)on Azure ソリューションにおける Elastic SAN 対応のテックプレビューと、Nutanix Move の移行ツールを使って Azure VMware Solution(AVS)から NC2 on Azure へワークロードを容易に移行できる機能を発表しました。

2026 年 1 月より、Nutanix は NC2 Azure ソリューションにおける Elastic SAN 統合のテクニカルプレビューを開始します。これにより、Azure Elastic SAN のリモートストレージボリュームを NC2 クラスタに直接接続し、コンピューティングとは独立してストレージを拡張することが可能となります。ノードあたりローカル NVMe 容量の最大約 4 倍に及ぶ柔軟なストレージ容量を備えたクラスタを、不要なベアメタルインスタンスを起動することなくプロビジョニングできます。Elastic SAN のボリュームは、ローカル NVMe(Tier 1)と並んで第 2 のストレージ階層として統合され、ゲスト VM に対して透過的にライフサイクル管理が行われます。

ストレージ集約型のデータベースやデータ分析ワークロードを実行したい場合、容量を確保するためだけにノードを追加する必要があり、コンピューティングが不要でも総所有コスト(TCO)が増大してしまいます。しかし、Elastic SAN により、このトレードオフは解消されます。

仕組み

ポータル経由で NC2 をデプロイする際、デプロイ時にクラスタ全体に均一に Elastic SAN ボリュームを追加できます。各ノードはリモートストレージを均等に割り当てられ、AOS は統合されたストレージプールとして扱われます。 ローカル NVMe 18.56 TB を搭載した AN36 ノードの場合は、ノードあたり最大 60 TB の Elastic SAN を追加可能です。AN36P ノードは最大 75 TB をサポートし、より新しい AN64 ノード(汎用 G9)はノードあたり最大 144 TB を処理可能です。ただし、ネットワークの制約により、Elastic SAN の容量を最大化する際にはクラスタサイズを考慮する必要があります。

graphic to Node layout in Azure when enabling Elastic SAN for more storage capacity.

Elastic SAN によるストレージ容量拡張時の Azure におけるノード構成

アーキテクチャは極めてシンプルです。CVM はまずローカル NVMe(Tier 1)にデータを永続化し、Elastic SAN ボリュームが Tier 2 のリモートストレージとして機能します。この階層化アプローチにより、頻繁にアクセスされるデータのパフォーマンスを維持し、データベース、VDI 環境、または従来より多くのノードを必要としたデータ集約型ワークロードに必要な容量の余裕を確保できます。Elastic SAN の各ボリュームは、Elastic 構成の Azure 数値に基づき、TiB あたり最小 5000 IOPS および 150 MB/s のスループット、約 4 ミリ秒のレイテンシを提供します。SSD を基盤としたこのパフォーマンスにより、ワークロードの応答性を維持します。

graphic to Architecture when using Elastic SAN on NC2 on Azure

NC2 on Azure における Elastic SAN 利用時のアーキテクチャ


新たに必要となるアーキテクチャ構成要素として、Elastic SAN との併用には専用 vHub を備えた Azure Virtual WAN の使用が含まれます。vHub はプライベートエンドポイントを使用して Elastic SAN に接続するために使用されます。また、Elastic SAN プライベートエンドポイントをホストするための追加の仮想ネットワーク(vNet)も必要です。この追加の vNet は、ベアメタルサブネットで使用される委任サブネットのために必要となります。プライベートエンドポイントと Elastic SAN の構成は、デプロイ時に NC2 コンソールで全て自動的に処理されます。

このデプロイメントデモをご覧いただければ、そのシンプルさを実感いただけます。


Elastic SAN の導入方法

Elastic SAN は、カタール中央リージョンを除くすべての NC2 Azure リージョンでご利用いただけます。ストレージの増分は、AN36/AN36P ノードで 5TB、AN64 ノードで 9TB に固定されており、NC2 ポータルで自動生成される構成ではなく、ユーザー自身のネットワーク環境を用意する必要があります。全てのデプロイメントには NCI Ultimate ライセンスが必要です。

自社の環境で Elastic SAN をテストしてみたい場合は、技術プレビューへの参加登録として、NC2 プロダクトマネジメントチーム(nc2-tech-preview@nutanix.com)までご連絡ください。一般提供開始前にフィードバックを反映し、ストレージに依存しないスケーリングに向けたアーキテクチャを整備する絶好の機会です。また、Nutanix は Microsoft Ignite にも出展予定です。Nutanix ブース #1733(Moscone South, Lower Level)に是非お立ち寄りください。

これまでストレージ容量がボトルネックとなり、ワークロードを NC2 Azure に移行できなかった場合も、今回の制約解消によりあらためて移行の可能性をご検討いただけます。ぜひこの機会にお試しください。

AVS ワークロード向けの Nutanix Move サポート

Nutanix Move が Azure VMware Solution (AVS) から NC2 on Azure へのワークロード移行をサポートすることで、Broadcom によるライセンス変更を受けて VMware へのコミットメントを再評価している多くの企業にとって、大きな課題を解決します。予期せぬコスト増加や制限的なバンドリングに直面している既存の AVS ユーザー企業にとって、この機能は Azure インフラを離れることなく、NC2 のシンプルな利用モデルへの明確な移行パスを提供します。 何より、Nutanix Move は Nutanix のお客さまに追加費用なしで提供されるため、そのビジネス価値は非常に高いといえます。Azure 環境を維持したままで、予測可能なノード単位の Nutanix ライセンスを利用可能となり、VMware エコシステムの複雑さから解放されます。これらは全て、ワークロードをオンプレミスに戻すリスクや費用、あるいはチームが管理する能力を持たないネイティブ Azure サービスへの再設計を伴わずに実現できます。

graphic to Simply add source and destination environments and start moving VMs to NC2.

ソース環境とデスティネーション環境を追加するだけで、VM の NC2 への移行を開始できます。

Nutanix Move は、AVS 環境へ直接接続し、VMware 形式から NC2 上で稼働する AHV ネイティブワークロードへの変換を処理することで、移行作業をスムーズに進められるよう支援します。ガイド付きワークフローを通じて、ソース VM のマッピング、AVS と NC2 セグメント間のネットワーク変換の定義、最小限のダウンタイムでの切り替えのオーケストレーションを行います。ハイパーバイザー間での本番ワークロード移行リスクを懸念される組織にとっても、Move が提供する増分レプリケーションにより、最終的な切り替え前に NC2 環境でアプリケーションを検証できます。また、ワークロードの観点からは 使い慣れた Azure ネットワーク構成(仮想ネットワーク、ExpressRoute、Azureサービスへの接続性)に変更はありません。これにより、Azure 環境を維持し、VMware からの独立を図る AVS のお客さまにとって、NC2 は自然な移行先となります。

Nutanix Move の AVS サポート提供開始日については、サポートポータルでご確認いただけます。また、NC2 への移行準備を進めたい場合は、必要なネットワークポートについてもご参照ください。

NC2 on Azure が SOC 2 Type 2 準拠を達成

Nutanix は、クラウドサービスのセキュリティとコンプライアンスに関するお客さまへの信頼性向上に引き続き取り組んでおり、Nutanix Cloud Clusters (NC2) on Azure は今年、年次の SOC 2 Type2 監査を無事完了し、ISO 27001、27017、27018、27701、22301 認証の更新を達成いたしました。さらに、2025 年には NC2 on Azure として初めて CSA STAR Level 2 認証を取得しています。これらの保証と認証は、NC2 が提供するセキュリティ、可用性、機密性、プライバシーを支える各種コントロールが 2024〜2025 年の審査期間において効果的に運用され、監査基準に基づき維持されていることを第三者が検証したものです。これにより、Nutanix が管理するシステムに関して、NC2 のお客さまは 世界的に認められた監査済みコントロールに基づく高い信頼性を確保することができます。

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