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仮想化基盤の最適解として 慶應義塾が選んだNutanix 

教育研究・医療基盤を支える先進的な Enterprise Cloud OS。 安定した仮想化基盤で意識する 必要のない容易な運用を実現。 

団体

慶應義塾は1858年、福澤諭吉が江戸に開いた 蘭学塾から始まった。創立から150年を超え、 現在は小学校から大学・大学院までを擁する、 日本で最も長い歴史を持つ総合学塾として 幾多の人材を輩出している。学問、とくに「実 学」の重用性を説いた福澤の志と理念を受け 継ぎ、教育、研究、医療を通じた社会へのさら なる貢献を目指している。 

業界

教育業界

ビジネスニーズ

  • 耐障害性の高い仕組み
  • 限られた人的リソースでも運用できるシンプル な基盤 
  • 拡張性に乏しく管理が煩雑なブレードサー バー構成からの脱却 
  • コスト負担を軽減する仕組み
  • システム入れ替え時にも無停止で移行できる 環境 
  • 容易にスケールアウトできる基盤 

導入製品

  • Nutanix NXシリーズ
  • Dell EMC XCシリーズ(NutanixのEnterprise CloudOSを搭載しているOEM製品) 
  • Lenovo ThinkAgile HXシリーズ (Nutanix のEnterprise CloudOSを搭載しているOEM 製品) 
  • AHV (Acropolis Hypervisor)

導入メリット

  • 仮想化基盤の安定稼働と意識する必要も ないほど容易な運用 
  • 体感できるほどのシステム応答の改善
  • 内部的な処理速度が向上、半分程度の時間 で処理を完了 
  • バージョンアップ時にもサービス無停止で 対応 
  • VMwareのESXiと変わらないレベルで NutanixのAHVを運用 
  • 従来の2分の1程度のスペースで環境を構築

導入の背景

福澤諭吉が1858年に江戸に開いた蘭学塾から始まった慶應義塾。小学校から大学・大学院までを擁する、日本 で最も長い歴史を持つ総合学塾です。1920年には北里柴三郎が初代病院長を務めた慶應義塾大学病院を 開院。現在では特定機能病院として、31の診療科とその他30の部門を有しています。 

慶應義塾はキャンパスや大学病院ごとに情報技術基盤を管理・運用・支援する部門を設置しており、教育機関 全体としては、インフォメーションテクノロジーセンター(以下、ITC)が、大学病院では病院情報システム部が、その 役割を担っています。また、全塾で利用するキャンパス横断的なシステムはITC本部が、キャンパスごとのシステムは キャンパスITCがそれぞれ運用管理を担当しています。 

各キャンパスITCの課題は、教育研究系の各システムが稼働する仮想環境の運用管理でした。以前に芝共立ITC を担当し、現在、日吉ITC 事務長を務める中村進氏は「芝共立ITCに所属していた当時、システムごとに設置された 物理サーバー環境から、共有ストレージを利用した仮想環境に移行しました。しかし、年月が経つと、ディスク障害 が発生し、ディスク交換後にRAIDコントローラとディスクのファームウェアの整合性がうまく保てなくなり、仮想化 基盤を停止せざるを得ない事態に陥ったこともありました。リプレース時期が迫っていたため、耐障害性の高い 仕組みを検討することになりました」と語っています。 

時期は異なるものの、湘南藤沢キャンパスを担当する湘南藤沢ITC山方崇氏も、物理サーバーで運用してきた大 学院生向けに仮想サーバーを払い出すVPS(Virtual Private Server)環境を刷新する際に、新たな仮想化基盤 を検討していました。「以前、キャンパス内の仮想化基盤は物理サーバーごとにVMware vSphere Hypervisor、 いわゆるESXiを導入し、それを直接VMware vCenter Serverで束ねて管理していましたが、管理の煩雑さから ブレードサーバーへ移行していました。効率的に管理できるクラウド基盤ソフトウェアを検討したこともありま した」と山方氏。今回改めてVPS環境の刷新にあたり、最適な仮想化基盤を再び検討することになりました。 

ITC本部でも、これまで複数のキャンパスに冗長化して展開していた、3層構成の全塾向けシステムが稼働する仮 想化基盤のリプレースを検討していました。「リプレースの際に無停止のまま移行でき、簡単にスケールアウトでき る基盤を求めていました」とITC本部 宮本靖生氏は振り返ります。さらに、慶應義塾大学病院 病院情報システム 部 主任 大貫亮氏は「以前から病院内のシステムをブレードサーバー上の仮想環境で運用していましたが、拡張 性やSANそのものに限界を感じており、新たな基盤の検討を始めました」と言います。それぞれ課題は異なるもの の、仮想化基盤の運用管理を容易にする、新たな仕組みを求めていました。 

ソリューション

最初にNutanixの導入を決めたのは、芝共立キャンパスでした。中村氏がセミナーでNutanixの Enterprise Cloud OSを知ったのがきっかけでした。「どちらかと言えば、これまで芝共立ITCでは保守的 な選択を行ってきましたが、リスクの高い共有ストレージの運用から脱却したいと考えていました。人 的リソースも限られており、できる限り運用を簡素化できる仕組みが欲しかったのです」と中村氏。先進 的な仕組みに多少の不安を感じつつも、新しいアーキテクチャ採用に積極的な湘南藤沢ITCもNutanix を検討し始めていたことも導入の後押しになったそうです。 

同時期に基盤の刷新を計画したのが、湘南藤沢キャンパスでした。「他社製のハイパーバイザーを採用し た場合、どうしてもライセンス面でのコスト負担が大きくなります。運用の容易性や拡張性などを考慮す るなかで、NutanixのEnterprise Cloud OSが選択肢としてあがってきました。ここで、追加のライセンス 費用が必要ないNutanix独自のハイパーバイザー、AHV(Acropolis Hypervisor)に注目したのです」 と山方氏。 

ITC本部では、全塾向けに提供しているサービスが稼働している仮想環境を複数のキャンパスに分散し ており、それぞれ共有ストレージによる3層構成で運用していました。この環境をリプレースすることが 計画されており、宮本氏は「サービスを停止させずにキャンパス間でデータを移行することはこれまでも 可能でしたが、リプレースや今後のスケールアウトの際にもシステムを停止することなく、柔軟な移行が できる環境を構築したいと考えていました。結果として我々が求める環境に最適だったのが、Nutanixの Enterprise Cloud OSでした」と語っています。 

慶應義塾大学病院では、2017年の病院機能評価受審をきっかけに、院内における運用見直しが各部門で 行われました。さらに、2018年には新病院棟が開院するため、新設備やシステム導入が増えていくことが見 込まれていました。そこで、仮想化基盤として利用している、拡張性に課題のあるブレードサーバー環境から 脱却し、柔軟に拡張できる新たな環境整備を目指したと大貫氏は語ります。「NutanixについてITC本部に話 を聞くと、通常のディスクでも重複排除や圧縮効率が高められるという点が印象深かった。拡張性の高さや スペース効率などを考慮した結果、NutanixのEnterprise Cloud OSによるメリットがトータルで大きいと 判断したのです」。 

各キャンパスおよび大学病院の必須要件を満たす仮想化基盤を検討した結果、最終的にはNutanixの Enterprise Cloud OSが各システムの仮想化基盤として採用されました。 

「いい意味で“何も起きないこと”が最適 な状態であり、まさにNUTANIXがその 環境を作り出してくれています。」

慶應義塾 ITC本部 宮本靖生氏

導入効果

現在は、拠点ごとに必要なアプリケーションを仮想化基盤の上でそれぞれ稼働させており、その基盤に NutanixのEnterprise Cloud OSが活用されています。芝共立キャンパスでは、Nutanix上でWebシステム やファイルサーバー、ドメインコントローラなどを稼働させています。湘南藤沢キャンパスでは、大学院生 向けのVPS環境にNutanixのソフトウェアを搭載したOEMのDell EMC XCシリーズが4ノード、事務用の 環境としてNutanixのアプライアンスが導入されています。 

「小規模オフィス環境のワークロードに適したNutanixのアプライアンスは、手間をかけずに、あっと いう間にサーバーを立ち上げたいという我々のニーズに最適でした。とても安定して稼働しており、まる で空気のような存在です」と山方氏は評価しています。 

またITC本部では、Webシステムや認証基盤、学習支援を行うLMS (Learning Management System) といった授業に直結する仕組みなど、全塾向けに提供している数多くのシステムが、複数のキャンパスに導 入されたNutanixのアプライアンス上に展開。大学病院では、医療機器管理システムをはじめ、健診シス テムやナースコールシステム、輸血管理システムなどの業務システムをNutanixのソフトウェアを搭載した Lenovo ThinkAgile HXシリーズ上に展開していく予定です。さらに、PACS(Picture Archiving and Communication Systems)用にも新たに追加ノードを導入、現在移行を進めています。 

新しい環境に刷新した効果について、宮本氏はシステムの応答については体感できるほど迅速になった と評価しています。「インターフェース部分だけでも、ユーザーとして実感できるレベルでレスポンスの改 善が見られます。全塾の基盤で稼働しているサービスは、数十万人が利用していますが、以前に比べる とシステム内部の処理をはじめ、そのほとんどが半分以下の時間で対応できています。スナップショット も一瞬で取得できるようになり、作業の大幅な効率化につながっています」。以前から自分たちで運用 しているため、VMデプロイも素早くできるようになったと好評です。また、今後のバージョンアップにも サービスを停止することなく対応でき、管理面でも効率化できると期待を寄せています。「いい意味で “何も起きないこと”が最適な状態であり、まさにNutanixがその環境を作り出してくれています」と宮本氏。 

中村氏は現在日吉ITCに異動しており、芝共立キャンパスの運用には現在関わっていないものの、「現 場のほうからも安定して動いているという話を聞いていますし、製品的に安定していることの証です」と 評価しています。 

大学院生向けのVPS環境にAHVを導入した山方氏は、VMwareのESXiハイパーバイザーと変わらな いレベルでUIが提供できていると語ります。「OpenNebulaやOpenStackの運用はとにかく運用が 大変ですが、その運用をしてきた人からすれば、AHVはほぼESXiと変わらず運用できますし、Nutanix の管理ツールであるPrismもvCenterと同じような感覚で運用できるため、とても助かっています。 ほとんど仮想化基盤部分は特別手をかけることなく運用できるようになりました」。湘南藤沢キャンパス では、Nutanix以外にも複数ベンダーの仮想化基盤を利用していますが、他社と比較して故障率が低く サービス対応など評価できる点は多いと山方氏は語っています。 

大貫氏は、「いままでは、法律の制約もあり、ある程度業務アプリケーションに依存してハードウェアも 調達するのが医療業界は一般的でした。しかし、法改正などの影響もあり、今回のようにNutanixのような 柔軟なEnterprise Cloud OS上で業務アプリケーションが動かせるようになりました。従来に比べて選択 肢が増え、最適なコストでの調達も可能になってきています」と語っています。Nutanixによるスペース 効率についても「スペースは簡単に増やすことができませんので、集約率が高まるのはとてもありがた い。おそらく今までの半分以下のスペースで構築できています」と評価しています。 

今後の展望

今後については、各キャンパスおよび大学病院ともに、柔軟な仮想化基盤として拡張を続けていきなが ら、基盤統合に向けた動きを加速させていく考えです。ITC本部では、すでに業務系基盤を統合するた めの検討を始めており、現状は200VM程度が稼働するシステムを、最終的には500VM程度の基盤 にまで拡張していく計画です。日吉キャンパスについても、現在稼働している複数の小規模な共有スト レージによる仮想環境をNutanixに刷新し、リース満了のタイミングで順次移行させ、最終的には統合 することを検討しています。「日吉キャンパスは規模が大きいものの、運用スタッフは限られています。最 近では無線LANなどのネットワーク運用にリソースが必要になっており、できる限りサーバー基盤の運 用をシンプルにさせたい。まだ物理サーバーで運用している仕組みを、将来的には仮想化基盤で統合し ていきたいですね」と中村氏。他にも、湘南藤沢キャンパスでは、デスクトップ仮想化に関する案件が検 討されており、大学病院についても現状移行中の案件を進めていきながら、数年後の電子カルテシステ ムの刷新など大規模な案件の際にも、Nutanixに期待していると語っています。 

宮本氏が今後期待しているのは、AHVが実装しているネットワーク仮想化の機能をはじめ、アプリケ ーションのオーケストレーションを可能にする「Nutanix Calm」によるパブリックラウドとの連携です。 「オンプレミスやパブリッククラウドを意識せずにアプリケーションが展開できるNutanix Calmを使 えばサービスの継続性が高まります。インフラのリソースが不足すれば、自動的にスケールしてリソース 調整が行われるような、そんな仕組みにもしていきたい」と宮本氏。また、キャンパス間をつなぐ潤沢な ネットワークを持つ慶應義塾だけに、キャンパス間をまたいでNutanixをスケールアウトさせる構成が 実現できると面白いと語りました。