エグゼクティブサマリー
データ主導の運用や AI ワークロードの拡大により、企業はインフラのモダナイゼーション戦略の再考を迫られています。
データセキュリティの強化と可搬性の向上が喫緊の課題となるなか、AI 対応アプリケーションの実行基盤としてコンテナを選択する企業が増えています。Nutanix が Wakefield Research に委託した最新調査によると、IT・クラウド・エンジニアリング分野の経営幹部の 87% が「今後 3 年間で自社のコンテナ化の割合が増加する」と予測しています。本調査は、従業員 500 名以上の企業に所属するマネージャー職以上の役職者 1,600 名を対象に、世界 14 市場(オーストラリア、ブラジル、フランス、ドイツ、インド、イタリア、日本、メキシコ、オランダ、サウジアラビア王国、シンガポール、スペイン、英国、米国)で実施されました。
AI によりコンテナ導入が加速していると 85% が回答
AI 対応アプリケーションの急速な普及により、コンテナの導入は着実に拡大しています。IT エグゼクティブの大半(85%)が、AI により自社のコンテナ導入が実効性のあるかたちで加速していると考えており、そのうち 29% は「大幅に加速している」と回答しています。
組織がアプリケーションやワークロードの俊敏性、可搬性、データ主権、コスト制御を確保するには、インフラのモダナイズが不可欠です。しかし、事業部門が分断された状態で IT 部門と連携せずに AI の取り組みを独自に進めると、IT 部門の負担が増大し、非効率な運用やプロジェクトの遅延につながることがあります。
こうした部門間のサイロ化は、シャドー AI 利用拡大を招く要因にもなります。
IT エグゼクティブの大半(87%)は、組織の管理外で AI ツールや AI エージェントを利用することは、ビジネスリスクをもたらすと考えています。
組織が承認していない AI ツールの利用は、企業の秘密情報や重要な知的財産の外部漏えいリスクを高めるだけでなく、規制に準拠せず法的責任を問われる恐れもあります。
本レポートでは、AI の急速な拡大のなかで IT エグゼクティブが直面しているさまざまな課題について検証します。
主な調査結果
シャドー AI の利用が拡大しており、適切に管理されていない
事業部門と IT 部門のサイロ化が、技術イニシアチブの効果的な実行を困難にしている
IT 部門以外のスタッフによる AI アプリケーション/エージェントの導入が発生している
組織の管理外での AI ツールや AI エージェントの利用はリスクにつながると考えている
コンテナがアプリケーション戦略の基盤になりつつある
組織内のアプリケーションのコンテナ化が拡大すると予測している
AI が自社のコンテナ導入を加速させていると考えている
コンテナで新規アプリケーションを構築している
Nutanix ECI が示す AI 時代のインフラ戦略
本 Nutanix 調査レポートは、米国の調査会社 Wakefield Research 社が実施した調査をもとに作成されたものです。調査は、従業員数 500 名以上の企業に勤務し、マネージャー以上の職位を持つ、IT・エンジニアリング部門の経営幹部 1,600 名を対象に行われました。対象市場は、世界 14 か国(オーストラリア、ブラジル、フランス、ドイツ、インド、イタリア、日本、メキシコ、オランダ、サウジアラビア王国、シンガポール、スペイン、英国、米国)で、米国連邦政府の職員 100 名が追加サンプルとして含まれています。調査は、2025 年 11 月 13 日から 11 月 23 日の間に、招待メールとオンライン調査の手法で実施されました。
サンプル調査の結果には、サンプリング誤差が伴います。誤差の大きさは測定可能で、インタビューの回数や結果の割合の水準によって変動します。本調査はグローバルインタビューであり、母集団(調査対象となる全ての人)に対して実施した場合の結果と比較すると、一定の誤差を含む可能性があります。グローバル全体では 95% の確率で調査結果は ±2.38 ポイントの範囲に収まると見込まれます。米国のみでは ±4.9 ポイント、その他の国々では ±9.8 ポイントの範囲で変動する可能性があります。
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AI が牽引するコンテナ化
クラウドネイティブなアーキテクチャ、データ指向の分散型アプリケーション、生成 AI の活用によるイノベーションがますます重視される未来に備えるべく、アプリケーションのコードとライブラリをパッケージ化するコンテナの導入が拡大しています。
コンテナによるパッケージ化は、データのセキュリティを強化するとともに、アプリケーションの迅速な調整や改善を可能にします。
エグゼクティブの大半(87%)が、今後 3 年間で、組織内のアプリケーションのコンテナ化が拡大すると予測しています。
国別で見ると、コンテナ化への移行は特にインドで顕著(97%)です。業界別では、金融業界(89%)での導入が進んでいます。
今後 3 年間で組織内のアプリケーションのコンテナ化が拡大すると 87% が予測
今後 12 か月で、自社におけるコンテナの導入または利用拡大の主な要因となるものは次のうちのどれですか?
性能
データセキュリティ
開発者の生産性・市場投入までの時間
AI の導入・活用
異なる環境間での可搬性
データ主権
コスト
高速性、信頼性、拡張性の向上が、今後 12 か月の間にコンテナへの移行をめざす主な要因となると、多くのエグゼクティブが考えていることがわかりました。特に性能については、最も多くのエグゼクティブ(47%)がコンテナ化の最大の目的として挙げています。
膨大なリソースを消費する AI ワークロードをサポートするには、強力な基盤となる IT インフラが必要です。しかし、企業の多くは、そのようなインフラを持っていません。AI アプリケーションは次々に登場しており、多くの場合で複数のアプリケーションを同時に稼働しています。コンテナは、個々のアプリケーションの実行に必要な全要素をそれぞれパッケージ化します。さらに、Kubernetes などのオーケストレーションツールと組み合わせることで、設定に要する時間とコストを削減できます。
エクゼクティブの圧倒的多数(85%)が、AI は実効性のあるかたちで自社のコンテナ化を加速させていると捉えています。そのうち 29% は「大幅に加速させている」と回答しています。
AI は自社のコンテナ導入をどの程度加速させていますか?
大幅に加速
適度に加速
やや加速
特に金融業界(39%)や公共セクター(38%)では、AI 活用がコンテナ導入を大きく加速させています。一方で、医療・ヘルスケア業界(25%)は進捗が比較的緩やかです。また、今後 3 年間で 5 つ以上の AI 対応アプリケーションを運用する見込みの企業(36%)でも、コンテナ導入の加速が顕著に見られます。
簡単にいえば、IT 部門が対応する AI アプリケーションが多いほど、コンテナのニーズも高まります。AI モデルの実行や特定の学習を行うには、環境の整備やソフトウェアツールが欠かせません。膨大なソフトウェアパッケージをオーケストレーションし、正しく構成する必要があります。インフラをコンテナ化することで、高い一貫性と可搬性が実現し、企業はニーズに応じて場所を問わず、信頼性の高いインフラを再現可能になります。
現在、71% の組織は、従来型アプリを仮想マシン(VM)で、最新型アプリを VM 上のコンテナで動かすハイブリッド環境で AI 対応アプリケーションを運用しており、14% の組織は AI 対応アプリをベアメタルサーバー上で直接実行しています。
AI の活用はコンテナの利用を後押しし、多くの企業(83%)がコンテナ環境で新たなアプリケーションを構築しています。
自社におけるコンテナの活用について、現在の状況に最も近いものはどれですか?
コンテナで新規アプリケーションを構築
新規構築と既存移行のハイブリッド
既存アプリケーションをコンテナ化
AI 活用の拡大とコンテナ技術の採用の加速により、コンテナで新規アプリケーションを構築していると 83% が回答
AI 導入のプレッシャー
AI アプリケーションのデプロイメントは多くの場合、経営層の指示によって進められます。一方で、それを支えるインフラは十分に考慮されていないケースが少なくありません。
多くの IT エグゼクティブは、制御性を高めるために AI アプリケーションをオンプレミスへ移行したいと考えています。ただし、コンテナ上で稼働するアプリケーションについては、当面大きな変化は見込まれていません。
今後 3 年間を見ると、59% の企業が 5 つ以上の AI 対応アプリケーションを導入すると予測しており、そのうち 23% は 10 以上のアプリケーションの導入を予測しています。現在はまだ導入していないものの、今後 3 年以内に導入すると見込まれる AI アプリケーション/AI 機能には、「生成 AI(58%)」、「エージェント型 AI/自律型 AI エージェント(56%)」、「チャットボット/対話型 AI(49%)」が挙げられています。
AI アプリケーションの実行環境の判断は、データセキュリティやスケーラビリティに影響を与える可能性があります。現在、大半の企業(65%)が、マネージドサービスプロバイダを活用して AI アプリケーションを運用しており、サードパーティベンダーにコンテナインフラのホスティングや管理を委ねています。このことから、AI アプリケーションは、ハイブリッド環境での運用が標準であることを示しています。そのため、企業はクラウド、オンプレミス、エッジのいずれの環境でもデプロイできる一貫性を必要としています。
現在はまだ導入していないものの、今後 3 年以内に導入すると見込まれる AI アプリケーション/AI 機能はどれですか?
生成 AI
エージェント型 AI/自律型 AI エージェント
チャットボット/対話型 AI
予測分析・機械学習モデル
コンピュータビジョン
オンプレミスでの AI アプリケーションの実行には、データセキュリティとプライバシーの強化に加え、規制順守の徹底、性能に対する制御性の向上、高度なカスタマイズの実現などの利点があります。しかし、自社で AI ワークロードをオンプレミスにデプロイする必要がある場合、82% の企業が現在のインフラでは十分なサポートできないと回答しています。特に医療業界においては、その傾向が顕著(88%)です。
今後 3 年以内に、オンプレミスまたはプライベートクラウド上でコンテナ化アプリケーションを実行する予定の企業は、現在の 52% からわずかに増加し 54% となっています。また、60% の企業が今後 3 年以内にコンテナ化されたアプリケーションをマネージドサービスプロバイダで実行する予定と回答しており、現在の 57% から増加する見込みです。
オンプレミスのインフラでは AI ワークロードに十分に対応できないと 82% が回答
スポットライト:エージェンティック AI の台頭
AI(人工知能)を活用する自律型ソフトウェアシステムは、経験を重ねて学習・適応し、高度なデジタルアシスタントとして機能します。これにより、組織の可能性は大きく広がります。
IT エクゼクティブの大半(61%)は、AI エージェントが自社のビジネス戦略の一環として、顧客や従業員の体験を向上させると予測しています。
また、半数以上(58%)は、AI エージェントが生産性と効率性の向上に役立つと予測しています。
さらに、AI エージェントが本質的で、変革的な役割を果たすことを期待する声もあります。回答者の半数以上(57%)が、AI エージェントによって新製品やサービス、あるいは収益源につながるポテンシャルを見出しています。
AI エージェントは、自社の現在または将来のビジネス戦略に果たす役割は次のうちどれですか?
顧客・従業員体験の向上
生産性・効率性の向上
新製品、サービス、収入源の創出
ビジネス慣行やオペレーションの変革
意思決定の迅速化
スポットライト:データ主権の重要性
現地の規制を遵守し、インフラに関する意思決定を行う IT 担当者にとって、データ保護は最優先事項です。エグゼクティブの大半(80%)は、データ主権をインフラの意思決定における優先事項、もしくは必須要件であると回答しています。
オンプレミスでのデータ保管は、パブリッククラウドと比べてアプリケーションに対する高い制御性を確保できる一方で、高コストであり一部の組織にとっては現実的ではありません。そのため、多くの企業がハイブリッドアプローチを選択しています。
コンテナ化されたアプリケーションをオンプレミスまたはプライベートクラウドで運用している企業の割合(52%)は、パブリッククラウドで運用している企業の割合(53%)とほぼ同じです。
自社のインフラを、単一国内(自国内)で運用する理由は何ですか?(オンプレミス、ローカルクラウドリージョンを含む)
セキュリティ/データ保護への懸念
規制・コンプライアンス要件
顧客やステークホルダーからの要請
性能・レイテンシーへの対応
組織/国のポリシーへの対応
制御性・ガバナンスの確保
コンプライアンス上の義務により、データは収集した国内に物理的に保持する必要がある場合がほとんどです。そのため、多くの組織(57%)は、セキュリティやデータ保護への懸念から、オンプレミスや国内のクラウドリージョンを使って、インフラを国内で運用する必要があると考えています。
また、コンテナ化されたアプリケーションのデプロイ先を選定する際、多くの組織がコンプライアンスやデータの保護基準の遵守を重視しています。コンテナで AI 対応アプリケーションを運用している組織の約 3 分の 1(28%)が、この点を主要な理由として挙げています。データ主権の要件を満たすにはオンプレミスへの移行が有力な選択肢となります。しかし、現在の AI の急速な普及にインフラ構築が追いつかず、オンプレミスへの移行が困難な状況に直面している企業も多いのが実情です。
データ主権はインフラに関する意思決定における優先事項だと 80% が回答
AI ジャーニーの障壁
組織全体での AI アプリケーション導入の管理は困難で、部門間のサイロ化も課題となっています。こうした障壁が、アプリケーションの展開やサポートを妨げています。
IT 部門以外のスタッフによる AI アプリケーション/エージェントの導入が発生していると 79% が回答
IT 部門エクゼクティブの大半(79%)が、IT 部門以外のスタッフによる AI アプリケーション/エージェントの導入が発生していると回答しています。これは、AI ソリューションが企業主導で承認・導入されるのではなく、個々のユーザーによって持ち込まれるケースが多いことを示しています。同時に、スタッフの AI 活用に対する意欲の高さも表しています。
組織の管理外の AI の利用はリスクにつながると 87% が回答
組織が承認していない AI ツールの利用は、企業の秘密情報や重要な知的財産の外部漏えいリスクを高めるだけでなく、規制に準拠せず法的責任を問われる恐れもあります。
「事業部門と IT 部門のサイロ化」を課題として挙げる IT エグゼクティブは極めて多く、82% がサイロ化をビジネス推進の阻害要因と考えています。
部門間のサイロ化は、シャドー AI の拡散を促します。回答者の 82% が、事業部門と IT 部門間のサイロ化は組織全体のパフォーマンスやテクノロジー施策の実行を妨げていると指摘しています。部門間の連携が不十分な企業では、環境を問わずイノベーションを支える未来志向のIT基盤の構築が喫緊の課題となっています。
重要なポイント
2 つの環境
AI アプリケーションは、デフォルトのクラウドネイティブなコンテナとハイブリッドという 2 つの環境で構築される傾向が高まっている。
ハイブリッド環境の構築
AI アプリの運用には、新たなハードウェアだけでなく、ハイブリッド環境に求められる性能、ガバナンス、マルチテナント・マルチサービスの要件に対応できるソフトウェアが必要である。
インフラの再考
AI アプリにはデータが不可欠であり、性能とガバナンスの要件を満たすデータインフラが必要である。
結論
AI(人工知能)は、かつてないスピードでワークフローに組み込まれつつあります。
こうした状況に加え、急増するデータニーズへの対応が求められるなか、経営層は自社データをセキュアかつ迅速に提供する最適な方法を模索しています。企業は、アプリケーションのコードやライブラリをまとめて管理できるコンテナを活用し、データ管理の標準化と自動化を進めています。一方で、部門間のサイロ化は連携を妨げ、スタッフによるシャドー AI の利用拡大を招き、新たなビジネスリスクにつながっています。
AI 時代においては、ビジネス目標の達成と知的財産や個人データの保護という二つの課題への対応が必要です。AI 導入の急速な拡大に伴い、コンテナを本番環境で大規模に運用するケースが増えており、それを支えるインフラの重要性も高まっています。オンプレミス、クラウドを問わず、コンテナを活用することで、セキュアで適切に管理された AI デプロイメントが可能になります。
第 8 回年次 Nutanix Enterprise Cloud Index(ECI)から読み解く、AI 時代に求められるインフラ戦略
Nutanix ECI が示す AI 時代のインフラ戦略