お客様

BSNアイネット、自治体向けの柔軟なクラウドサービス基盤構築に貢献するNutanix

Nutanix独自のハイパーバイザーAHVを導入し、従来の3層構成に比べてコストを約4分の1削減。わずか3週間で設置・移行・本稼働を実現。

紹介

官公庁・地方自治体や医療、保健福祉、民間分野向けのシステムインテグレーションサービスをはじめ、受託情報処理やIDCサービスなどのアウトソーシングサービス、ソフトウェア開発・販売、コンサルテーションなどの事業を展開。新潟で2か所のデータセンターを自前で運用しながら、全国のデータセンター事業者との連携を実施し、その基盤を利用したクラウドサービスも積極的に提供。

業界

システムインテグレーション

ビジネスニーズ

  • 自治体向けの基盤が保守切れを迎え、新たな環境への刷新が必要に
  • できる限りシンプルな運用を目指して3層構成からの脱却を図る
  • 価格競争力のある基盤による環境づくりを目指す
  • 新たな環境へ挑戦する意味でも、エンタープライズクラウドに注目
  • 600km離れたレプリケーションでも負担なく実施できる環境が必須
  • 既存の環境から容易に移行できるソリューションが必要に

導入製品

  • Nutanix NXシリーズ
  • AHV
  • Nutanix Move for VMs

導入メリット

  • 従来の3層構成に比べて4分の1ほどのコスト削減を実現
  • Move for VMsのおかげで、わずか3週間程度で機器の設置から移行、本稼働までが可能に
  • 重複排除と圧縮が可能になり、短時間でのレプリケーションを実現
  • 復旧手順がシンプルになり、半数以下のステップ数で復旧できる
  • 調達含めて数か月必要だった拡張も、容易かつ迅速に行うことが可能に

「AHVはとても安定して稼働しています。 構成や運用がシンプルになった分、より 短時間で、誰にでもDR環境から復旧させる ことができるようになりました。復旧の手順は おそらくステップ数だけみても半分以下に なっています。何か起きたときでも復旧できる 自信が持てるようになったのは大きい」

株式会社BSNアイネット 市場開発部 副部長 坂田源彦氏

導入の背景

1966年に新潟で創業し、現在は情報通信技術を基軸にした事業を全国に展開している株式会社BSNアイネット。公共サービスから医療、保健福祉、さらには企業・団体向けのシステムインテグレーションサービスから受託情報処理やIDCサービスなどのアウトソーシングサービス、ソフトウェア開発・販売、コンサルテーションまで、幅広い事業を積極的に展開しています。新潟で2か所のデータセンターを自前で運用しながら、全国のデータセンター事業者と連携したクラウドサービスも提供しています。

同社が手掛ける自治体向けに提供しているサービスの一つに、クラウド基盤に財務会計システムや水道料金改定システムを構築した北海道の自治体向けのサービスがあります。北海道総合通信網株式会社(以下、HOTnet)が手掛けるデータセンター内に設備を設置し、DRサイトとして自社のデータセンターと 同様の環境を整備、2012年よりサービスを提供してきました。「総合行政ネットワーク(LGWAN)への接続などネットワーク網を提供するHOTnetとともに、北海道の自治体を中心にサービスを提供してきました。すでに5年以上が経過し、ハードウェアが保守切れを迎えることになったことで、新たな基盤に刷新しようと考えました」と市場開発部 副部長 坂田源彦氏は当時を振り返ります。

同社は、新潟で総合的なクラウドサービス基盤「iNET IMAGE BANK」を運営しており、その仕組みには長年 3層構成の仮想化基盤を採用してきました。「今回、新潟からリモート操作で北海道の基盤を運用するため、できる限り運用しやすい仕組みが必要でした。従来の3層構成では仮想化基盤やストレージの管理など個別に行う必要があり、シンプルな構成にしたいと考えました。また、価格競争力を保つために基盤コストをどう抑えるかという課題もありました」と坂田氏。

ソリューション

新たな基盤として注目したのが、NutanixのEnterprise Cloud OSソフトウェアでした。「新しいテクノロ ジーに挑戦する良い機会だと考えました。Nutanix独自のハイパーバイザー、AHVについても新たな アプローチとしてチャレンジングな試みでした」と坂田氏。実は、直線距離で600kmほど離れた札幌と新潟のデータセンター間でレプリケーションを実施しており、BCP(事業継続計画)に基づいた災害対策を実施できることがAHV採用の条件だったと語ります。「これまでは他社製のデータ複製ソリューションを利用してレプリケーションを実施していましたが、同様のことがAHVでも実現できることがわかり決断に踏み切りました」と坂田氏。HOTnetとの間に広帯域なバックボーンが敷設するのがコスト的に難しいため、重複排除や圧縮などの機能も評価したポイントだと語ります。

選定時には、複数の国内外の著名なハイパーコンバージドインフラストラクチャー製品を比較検討しましたが、様々な評価ポイントと過去の導入実績でNutanixが勝っていました。「新潟・北海道の両方のデータ センターにはNutanixのアプライアンスを導入しましたが、新潟県内だけでなく全国でビジネスを展開していると、地場のインテグレーターがサポートできるベンダーのハードウェアでないと運用できないケース もあります。その点、NutanixはEnterprise Cloud OSソフトウェア単体で提供可能なので、インフラに依存せずプラットフォームの選択肢が広がります。また、ハイパーバイザーについても、AHVだけでなくVMware ESXiなどの各種製品に対応しており、顧客の要望に柔軟に対応できます」と坂田氏は評価しています。5年前の環境よりもIOPSが向上する点や東京証券取引所の採用実績も、社内で高く評価されたと振り返ります。

さらに、大きな選定ポイントとして挙げたのが、既存の仮想環境から移行を支援する無償ツール「Nutanix Move for VMs」の存在です。実際にはリリース前から情報を入手し、移行のタイミングで活用 したい機能だったと坂田氏。「既存の環境をスキャンしたうえで、移行までを自動化する動作をデモで確認し、移行へ大きく背中を押してくれました。実際にはウィザードに示された手順に沿って数クリックで移行が開始できます。こんな簡単に移行できるとは正直驚きました」と坂田氏。

なお、管理機能を提供するPrismの使い勝手についても事前に検証し、その完成度について高く評価したといいます。「一画面に入る情報量が適切で、とても分かりやすい。他の製品は画面遷移が多いため、情報を確認しづらく使いづらい。そのあたりのデザインセンスはNutanixならでは」と坂田氏。結果として、Nutanixが新たな自治体向けの仮想化基盤として採用されることになりました。

導入効果

現在は、Nutanix NXシリーズがメインサイトである札幌とバックアップサイトである新潟にそれぞれ設置されています。財務会計および水道料金改定システムのDBをはじめ、自治体向けの監視系システムやセキュリティ配信サーバーなどを含め、利用するすべてのOracle DBをNutanix上に集約して稼働させています。「ライセンス対策も考慮したうえで、運用がクリティカルだったOracle DBを集約し、遠隔地にDRを行っています」と坂田氏。ハイパーバイザーにはAHVを採用し、深夜に毎日レプリケーションを実施しています。「BCP用途 ですので、そこまでクリティカルではありませんが、究極的には30分ごとにレプリケーションしたいと思います。Nutanixであれば十分対応できるはず」と坂田氏は力説します。

今回は、AHVの採用や運用の効率化なども含め、従来の3層構成に比べて4分の1程度、コストを削減することができました。「AHVはとても安定して稼働しています。構成や運用がシンプルになった分、より短時間で、誰にでもDR環境から復旧させることができるようになりました。復旧の手順は、おそらくステップ数だけみても半分以下になっています。何か起きたときでも復旧できる自信が持てるようになったのは大きい」と 坂田氏は評価します。夜間バッチの時間も短縮され、重複排除のみならず圧縮も可能になったことで、全体のボリュームが350GBほどあるレプリケーションであっても、日々の運用ではわずか30分程度で完了します。「バッチのデータ量を3分の1程度にまで圧縮できるようになったことで、以前に比べて短時間のうちにレプリケーションを完了させることができるようになりました」と坂田氏。

また、今回は機器の設置から環境移行、そして本稼働までわずか3週間程度のプロジェクトでしたが、簡単に仮想環境が構築できるだけでなく、移行ツールであるNutanix Move for VMsがあったおかげで短期間 での立ち上げに成功しています。「通常、異なる仮想環境間の移行では踏み台を別途経由する必要があり、異なる環境への移行には手間がかかるものですが、Nutanix Move for VMsのおかげで手間なく簡単に 移行することができました」と坂田氏は高く評価しています。今後の拡張についても、従来の3層構成であれば 調達含めて数か月かかるところを、迅速かつ容易にスケールアウトできるようになったと坂田氏は語ります。「今回新たな構成で実績ができたことで、横展開も含めて同様な構成で顧客に提案できます。営業活動にも拍車がかかると考えています」。

運用面では、現時点ではBSNアイネットがサポートするインフラ側と同社のシステム側のエンジニアが同じPrismの画面を共有するため、状況把握や意思疎通が速くなっていると説明します。「構成がシンプルになったことで、ハウジングされたラック内が非常にシンプルできれいになりました。今は死活監視までですが、さらに深い部分まで踏み込んだ運用支援を行うことができるのではと考えています」と語るのは、HOTnet の営業統括部 部長の湊雄一氏。実はHOTnetとしても今回のプロジェクトとは別にNutanixを同社の札幌にあるセンターでサーバー基盤として導入した経験があり、初めて導入する坂田氏も環境設置の面で安心できたといいます。

今後の展望

坂田氏は、すでに他の自治体でも同じ構成での採用が決まっていることから、遠隔地でのDR環境の整備を含めたパッケージとして展開できると期待を寄せています。ハイパーバイザーのコストをゼロにできるAHVを包含したEnterprise Cloud OSソフトウェアこそが、Nutanixの最大の価値だと話します。