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ウィズ・コロナ時代、IT環境の変革と構築はROI分析から始まる

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昨今、IT環境がクラウドなどで繋がるにつれて、企業にとっても従業員にとっても、これまでの業務や仕事は場所を選ばずに行うことが可能となった。まさに、テレワーク時代の到来だ。そして、多くの企業がIT 環境構築の費用対効果を測るために、ROI(リターン・オン・インベストメント:投資収益率)分析を実施している。また、ハイパーコンバージド・インフラストラクチャー (HCI) のような新しい革新的なテクノロジーによって、旧来のIT環境やシステムもまた、大きく変わろうとしている。

このダイナミックな社会変化の背景には、2020年、新型コロナウィルスの影響によって急速に広まったテレワークやIT環境に企業は対応を迫られたことにある。多くの企業はこのことについて、信頼性や拡張性が高い、機能性があるものが必要だと強く認識したのだ。

The ROI Story:ITリーダーのためのガイド』の著者であり、ニュータニックスのカスタマーサクセスファイナンス担当バイスプレジデントでもある、スティーブン・カプランは「新しいテクノロジーや新しいサービスが企業の革新的な業務の一部となるためには、企業のITリーダーたちは業務に関わるITニーズに応える必要があるだろう。IT環境整備、システム、ソリューション、そのためにはどのようなものに投資すれば良いか、いま慎重かつ迅速に把握する必要がある。そしてそれを判断するためには、多くの場合、ROI分析が良い指標であり有益な情報になる」と指摘する。

ROIを活用したITインフラストラクチャーを構築する意味は?

ROI(投資収益率)の概念はシンプルだ。たとえば、新しい自転車を購入するかどうかを決める時、自転車の購入にはある程度の費用がかかることを理解しているが、自転車に切り替えることでこれまで支払っていたバスや地下鉄などの公共交通機関への支出をどれだけ削減できるかと考えたことはあるだろうか。

自転車に乗り換えることによって生まれるコスト削減のメリットは魅力的だ。そのメリットは、実は自身の経済面だけではない。自転車に乗ることで、日頃怠けていた体を動かす機会を得る。そして、これまでの部屋やオフィスでの室内生活から、より多くの時間を屋外で過ごすことを可能にする。また、別の視点、エコ視点から見ると、自動車やバスなどの化石燃料を伴う乗り物を使用しないのだから、二酸化炭素の排出量削減にも少しは寄与するだろう。

実はこれは考えていた以上に、投資に対する費用対効果としての価値が生まれていることを示している。自転車に乗ることによってメリットと捉える要素が多ければ多いほど、そして、そのことによって考え得るストーリーが広がれば広がるほど、自転車に乗り換えるという先行投資によって、この場合のROIの結果が良くなることは容易に理解できるだろう。

同様に、IT環境のテクノロジーを比較する場合、このROI分析の考え方を組織のITインフラストラクチャー構築に置き換えることができる。

「ある企業では現在ローカル端末を使用していて、社員みなが使える仮想デスクトップ(VDI)方式への移行を検討しているとする。この前提には、現状のローカルなIT環境のままだと、仕事のニーズに応えることは難しい。つまり実質的な未来への投資は一切無いということだ。しかし、一方では、仮想デスクトップ(VDI)方式を導入したいとすると、その導入までには、時間、トレーニング、サポートなどの多額の投資が重なり、高いランニングコストとして負担を計上することになるだろう」とカプランは話す。

そこで、費用対効果を検討する上で、ROI分析は有用で、かつ、重要な指標となるのだ。ただし、この分析を行う場合、自転車の時のように表面的なものだけではなく、ソリューションに影響を与えるすべての可能性とコストを考慮する必要がある。

IT環境を整備するために必要なことは、ビジョン

ROI分析(投資収益率)はただの新しいIT環境導入前の事前演習や単純なシミュレーションではない。企業はこれまでのシステムやオペレーションへの「慣れ」や、それによって育まれたこれまでの環境に対する「心地よさ」を理解しつつ、たとえ新しいITシステムの導入によって環境が大きく変わったとしても、企業は成長のために企業ビジョンとしての将来像について社員をはじめステークホルダーへ説明する必要がある。

カプランは続ける――「みなさんの企業について、現在の財務状況に対する分析は決して間違ってはいないのかもしれない。しかし、現状のIT環境(ITインフラ)を新しいシステムに置き換えることは、それに関連している多くの人為的な「感情」にも関わることであり、したがって、それには合理的で説得力のある数字的な評価に加え、導入によって得られるメリット、そして、ビジョンと未来へのストーリーを共有することが大切だ」。

また、ROI分析による評価とは、ITによる意思決定によって、人為的ミスや人の感情、主観的な思い込み、「感」から煩悩的な考えを解き放して判断することに役立つ。その結果、IT環境構築のベースとなるインフラストラクチャーやプラットフォームを選択することによって、導入コストを最小限に抑えることができる。それは結果として、企業が掲げるビジネス目標と満足感を最大化することに導くだろう。おそらくそれは、企業にとって、これまでに経験したことがない「大転換点」となるのではないか。

IT環境への長期的な投資は、新型コロナ対策にも役立つ

多くの企業や組織にとって、プライベートクラウドのようなデータセンターを構築するためにはHCI(ハイパーコンバージド・インフラストラクチャー:IT環境整備のための仮想化基盤インフラ)への取り組みが、デジタルトランスフォメーション(DX)を考える上で、最初のステップとなる。

これまで改革のビジョンを掲げ、時代を見据えて十分な時間をかけて開発されたROI分析に基づきIT環境整備を推進してきた企業は、昨今の新型コロナウィルスによって刻々と変わる社会情勢にも柔軟に対応することができた。

カナダオンタリオ州オンタリオ東部地域の市民に健康サービスを提供する公的機関のHPEPH(イスティングスプリンスエドワード公衆衛生)は、新型コロナウイルス感染が同地域でも3月上旬を中心に拡大したが、それ以前から、同機関のIT部門/ITシステムマネージャーのトムロックハート氏はHCIで実行可能なスケーラブル仮想デスクトップインフラストラクチャーに切り替えを行なっていた。このことによって、新型コロナウイルスによるテレワーク体制でも、HCIによるIT環境の整備により事前にクラウドなどシステムが整っていたことで職員は電子カルテ(EMR)やその他のアプリケーションに問題なくアクセスすることができた。

都市のロックダウンが発表された際、HPEPHは普段から健康に関わる事業を展開していることから数百人規模の職員がテレワーク業務を続けることが必要だった。HPEPHはすでにニュータニックスのエンタープライズクラウドソフトウェアを搭載した仮想デスクトップ(VDI)方式を導入していたことによって、一人一人の職員がテレワーク勤務の初日から問題なくビジネスアプリケーションにアクセスして業務を遂行することができたのだ。

同公共機関IT部門のトムロックハート氏は「まだクラウドではない従来のシステムを導入している組織にとって、このような緊急性の高い事態では、迅速にリモート体制を構築し展開できるかは想像しにくいです、VDIを整備しておいてよかった」と話す。

また、イギリスに本社を置きながら多国籍展開する携帯電話事業会社ボーダフォン・グループは、新型コロナウイルスのようなパンデミックの状況下では、先進的なIT戦略が各チームの業務効率化を進めることにどのように役立つかを指し示している。

ボーダフォン・グループは、HCIとパブリッククラウドの両方でVDIを利用しており、様々な国で働く50,000人以上の従業員が同時に、かつ、共同で作業可能な環境を整備していた。現在もその実装により、同社のビジネスは非常に高い結果を見せている。

ボーダフォン・グループのリモートアクセス主任アーキテクトであるマイケル・ヤンセン氏は「私たちの使用事例の85%はアプリケーション仮想化(サーバーベースコンピューティング:SBC)に基づいています。また、弊社は現在、従来のオンプレミスの3層仮想化テクノロジーから、ニュータニックスの HCIとMicrosoft Azureのパブリッククラウドを組み合わせた新しいハイブリッドアーキテクチャへの移行を行っています」とさらにITインフラ環境の強化を進めている。

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ニュータニックスのカスタマーサクセスファイナンス担当バイスプレジデントであるカプランは、災害や新型コロナウイルスによるパンデミックのような不測の事態に備える意味でも、今後、ROI(投資収益率)分析はHCIやパブリッククラウドなどのソフトウェアの機能性評価にも役立つと考えている。そしてまた、このことは、人為的ミスや感情、担当者の価値観など人的要因による問題や弊害から離れて、別の視点でその企業組織の将来にとって最適なテクノロジーが選択できる術やシステムの体制作りに役立つ情報を示唆するだろうと見ている。

著者 : マイケル・ブレナー*/ Marketing Insider Group, CEO

*マイケル・ブレナー氏はMarketing Insider Groupの主宰者、編集人、およびCEO。ブレナー氏は、Forbes、アントレプレナーマガジン、ガーディアンなどの経済ニュースサイトで数百の記事を寄稿。マーケティング、リーダーシップ、ITテクノロジー、ビジネス戦略などのトピックをカバーするリーダーシップ会議で多くの講演を行っている。

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